「ウイルソンの革命」と銘打ったクラッシュシリーズ。
フレームの柔らかさ・しなりが売りのモデルですが、ちょっと柔らか過ぎて大変かも??
弱点・欠点についても考えていきます。
クラッシュのスペックを復習
「ウィルソンの革命」ラケットクラッシュ。
2月の発売開始から約3ヶ月。
インターネット上にも様々なレビューがアップされています。
まずはスペックをおさらいしていきましょう。
クラッシュ100 ( CLASH 100 )
フェイスサイズ | 100平方インチ |
重さ | 295グラム |
バランス | 310 mm |
フレーム厚 | 24 mm フラット |
フレーム長 | 27インチ |
ストリングパターン | 16 x 19 |
Stiffness TennisWarehouseより参照 | 55 |
クラッシュ100ツアー ( CLASH 100 TOUR )
フェイスサイズ | 100平方インチ |
重さ | 310グラム |
バランス | 306 mm |
フレーム厚 | 24 mm フラット |
フレーム長 | 27インチ |
ストリングパターン | 16 x 19 |
Stiffness TennisWarehouseより参照 | 55 |
スペック上で1番特徴的なのがStiffness : 55。
フレームの硬さを表してるわけですが・・・55って相当柔らかいフレームです。
それを24mmという厚目のフレームで実現したというのは、確かに新しいカテゴリーのラケットが登場した・・・と言っても良いと思います。
ブレードシリーズの「しなり」
ウルトラシリーズの「安定性」
というのがキャッチフレーズになっていて、インターネット上のレビューにも「しなりがすごい!」「未体験の感触だ!」なんて言葉も。
僕も実際使いましたが、ゆっくりスイングしてもしっかりボールが食いつく感触があり、操作性が高く楽に捌けるラケットだなぁと思いました。
フレームの硬さから考えてみる。
しなりを出すため、柔らかいフレームとして仕上げられているクラッシュ。
Stiffness : 55と相当柔らかい設計になってます。
プロスタッフ97が65前後、ピュアドライブなどの黄金スペックだと70,71あたりの数値になるので、クラッシュの55はかなり極端なのが分かりますね。
硬いフレームはインパクト時に変形しにくく、ボールにパワーが伝わりやすくなります。
(野球だと木製バットより金属バットの方が、簡単に飛距離が出るのと同じ理屈ですね。)
一方の柔らかいフレームは、変形量が多い分パワーはロスしてしまいますが、ボールが接触してる時間が長く感じられ意図したボールを作り出しやすいとされています。
より大きなパワーを得るために、この10年でラケットは全体的にに硬い方向へ進化を遂げました。それと逆行するような形でデビューしたクラッシュですが・・・いかんせん柔らか過ぎました。
柔らかすぎるフレームの弊害
とても柔らかく設計されているクラッシュ。
スイングスピードが速くなくてもしなりを感じられるようになりましたが、反対にスピードのあるボールを打つのは大変になりました・・・。
フレームの変形によってエネルギーをロスしてしまう為、頑張って振ってもボールが伸びない。
プロ特注ラケットでもRA60前後が多い
プロはボールを飛ばす体力・筋力が十分にあるので、アマチュアプレイヤーよりも柔らか目のフレームを特注する事が多いそうです。
前記の通り、球持ちが良くなりよりボールを操り易くなります。
そんなプロの特注ラケットでもRA60前後が多いそうですので、クラッシュはそれ以上に柔らかいんです。
僕のような週末プレイヤーが、クラッシュでスピードボールを打てなくてもなんら不思議ではないんです。笑
クラッシュのターゲット層:実はフィットする人は少ない
クラッシュシリーズがピタッとはまるターゲット層、これって実は結構狭い・少ないと考えています。
まず1番しっくりきそうな層は、中高年以上のあまりスイングやボールスピードが速くない紳士淑女の皆様。
前提として、単純なボールスピードでは勝負してない人向けだと思います。
ゆっくりとしたペースの中なら、クラッシュのしなり・操作性は快適に感じられると思います。
特に女性プレイヤー、軽量・高反発モデルを使ってる方は時に球離れの速さに苦労されたこともあるはず。
そんな方にはクラッシュのような柔らかさはプレーのしやすさにつながる事もあると思います。
(ゆっくりなボールで良いなら、ですが!笑)
これとは全く逆の層になりますが・・・ラケットにパワーは求めないからとにかくしなるフィーリングが欲しい人なら選択肢に入れても問題ないかと。
しなりによるパワーロスに負けないくらいのパワーで打てるなら(もしくはパワーロスしても構わないなら)、このフィーリングは他のラケットでは味わえないものだと思います。
実はかなり極端なラケット
個人的に、クラッシュは数あるラケットの中でもかなり極端なスペックなラケットだと考えています。
それが理由で、広く色んなプレイヤーが使えるラケットでもないと思います。(マニア向けのスペックだよ、これは。)
ブリジストンのX-02(今見ても黒塗りでカッコいい)や、トアルソンのフォーティーラブBRTハイパー(通称イルカラケット)など、一部のマニア(笑)に深く愛されたラケット達に近い存在だと思ってます。
そういうラケットが好きだった方には、クラッシュは自信を持ってオススメ出来る逸品です。
みんなに使いやすいラケット・・・?
ただ、ウイルソンの宣伝の仕方は「みんなに使いやすいよー!」と聞こえてしまいそうな部分もありますし、実際買ってからアレ???ってなった人も少なからずいるはず。
ラケットそのものはこだわりが沢山詰まっているし、上手く作り込まれたモデルだと思います。
ただ、自分が目指すプレーとこのラケットの特性が一致しない場合・・・話が違うじゃないかー!ってなりかねません。
そこだけは注意して購入した方が良いと思います。