01-ラケットインプレ

黒塗りラケットの功罪。| プロストック / ペイントジョブ

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真っ黒な塗装のラケットをしばしば見かける事、ありますよね。
プロが大会で黒いラケットを使っていたり、SNS上で新モデルとして登場したり。
これまでの黒塗りラケットの変遷を振り返りつつ、ラケットビジネスとしての黒塗りをテーマに深掘りしていきます。

黒塗りラケットとはどんなもの?

「黒塗りラケット」とは、読んで字のごとく真っ黒に塗られた状態のラケットの事。
ブラックコスメと表現される事もあります。

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こんな感じ!
どのメーカー?なんのラケット?
という事が、外観からは判別が付きにくい状態にされているんです。

黒塗りラケットの歴史

黒塗りラケットは以前からテニス界に存在し続けています。
その歴史をちょっとだけ振り返ってみましょう。

プリンス:EXPERIMENTALラケット

2000年代前半、ファン・カルロス・フェレーロ(Juan Carlos Ferrero)やギレルモ・コリア(Guillermo Coria)といった、プリンスのラケットを使用していた選手達が活躍していました。

2003〜2004年、プリンス契約の選手たちが突如、真っ黒なフレームにブランドロゴ+EXPERIMENTAL (=実験的な、の意)と書かれたラケットを使い始めたのです!

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当時高校生だった僕は

な、なんだ!このカッコいいラケットは!?
と度肝を抜かれたのでした。

その後、市販モデルとしてTOUR NX グラファイトが発表され、シルバー+緑だわ、表裏でデザインが違うわ、で別の意味で度肝抜かれたんですが。笑
(ちなみにフェレーロもコリアもグラファイトLBを黒く塗っていただけなのは有名なお話。)

ウイルソン:フェデラーのプロトタイプ

フェデラーと言えばRF97の真っ黒なデザイン、ですよね!。
元々は2013〜2014年にかけてテストしていた真っ黒に塗られたプロトタイプラケットが、今のデザインの起源となっているんです。

全豪オープンでバックハンドを打つ、ロジャー・フェデラー
フォアハンドのフォロースルーをするロジャー・フェデラー

こちらの写真は2014年の全豪オープンにて、僕が撮影したものです。
この当時はまだRF97は発表されておらず、スペックもデザインも謎でした。
[フェデラーが使う真っ黒なラケット]という事で、相当な注目を集めていた事は覚えている人も多いのではないでしょうか。

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その後、新しいプロスタッフとして赤+黒のデザインが発表されたのですが・・・正直、期待はずれでした!笑

「黒塗りプロトタイプのラケットが格好よかった!」って事で黒x黒のプロスタッフが誕生。
個人的にはこの黒黒プロスタッフ登場以降、マーケットにも黒ベースのラケットが一気に増えたように感じています。
(ありがとうプロスタッフ!)

その後、2018年に白x黒のタキシードルックと呼ばれる新型が出ましたが、2019年に再び黒x黒のデザインに戻りましたとさ。
もう黒x黒のままで良かったじゃんか!笑

ブランド不明:アンドレイ・ルブレフ

そして現在進行形の黒塗りラケットで、注目しているのがこちらの選手。

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ロシアのアンドレイ・ルブレフ選手。
これまではウィルソンの契約でプロスタッフを使用していましたが、写真のラケットは完全に別物。
フレーム両サイドのPWSが無いし、フェイス形状も違うようです。
ブランドのステンシルが入っていないところを見ると、契約無しで使っている可能性大。

僕は形状的にHEADのグラビティじゃないかなと予想してますが・・・みなさんはなんだと思いますか?
正式発表が待ち遠しいですわ。

ここ最近の黒塗りラケット

そしてオンコート以外にも黒塗りラケットが。
ここ最近で、InstagramやTwitterでよく見かける(見かけた)ラケットをいくつかピックアップしました。

HEAD 謎の黒塗りラケット

ヨネックス:EZONE2020

2020年1月販売のヨネックス新EZONE(イーゾーン)。
発売直前まではブラックコスメでキャンペーンが行われてました。
最終的にブルー主体という事が判明した時には、多くの人が驚いたはず(笑)

しかし一般プレイヤーには非常に人気を博しています!
・・・個人的には100%、黒デザインのままで良かったと思ってますが。笑

ダイアデム:NOVA

そしてこちらは、2020年に本格的に日本市場へと殴り込んできたDIADEM (ダイアデム)というブランドのNOVA。
こちらも黒塗りの状態でSNSへ登場。
2020年モデルとして販売されたのは黒ベースに柄が入ったものでした。

・・・個人的には、黒デザインのままで良かったと思ってますが。笑
(2回目)

その他にも複数のモデルが黒塗りで登場

上記のモデル以外にも
HEAD:グラビティ 「次世代フォース」
ウィルソン:ブレード 「BLADERの覚醒」
と言ったモデルも、ほぼ黒塗りの状態で登場していました。
テーマがスターウォーズみたいだったのは偶然なのでしょうか・・・?

PR戦略としての黒塗りラケット

ここまでにいくつも黒塗りラケットが登場しましたが、最近のものは少し傾向が変わってきてます。

これまでの[仕方無い感]があった黒塗りラケット

フェデラーのプロトタイプラケットなどは、当然デザインも決まってないし、市販されるかどうかも分からない・・・というものでした。
そういうテスト段階のものだったり、ルブレフのように公に出来ないものなど、多くの黒塗りラケットにはそれなりに[仕方ない感]があったように思います。
黒く塗らざるを得ない理由がありましたよね。

[ PR戦略 ]としての黒塗り

ところが最近のSNSに登場しているラケットなどに関しては、発売が決まっている新モデルを正式発表前にわざわざ黒塗りの状態にして登場させてるんですよね。
そこにはこれまでの黒塗りのような[仕方ない感]ではなく、[PR戦略]としての黒塗りになりつつあるように思います。

想像させる+期待させる効果

黒塗りになっている事で、それを見た僕達のようなテニス愛好家は自然と
・新しいデザインを想像する
・新しいラケットへの期待が高まる
という感情が生まれます。
これって恋愛感情にも似たものだと思うのです。

いきなりペチャクチャよく喋る男より、ちょっと口数が少なくてミステリアスな男性の方がモテる・・・みたいな事あるじゃないですか?
それと同じ現象だと思うんですよ、黒塗りのラケットって。笑

売り方が変わるこれからのラケット

僕がテニスを始めた2003年の頃、テニスラケットに関する情報源と言えば

・試合のテレビ放映
・テニス雑誌の広告、商品記事
・友達の口コミ、感想
・ラケットショップ
・インターネット:メーカーのHPや掲示板など

このくらいしかありませんでした。
今と比べると格段に情報が少なくかったんです。
ラケットのモデル数も今とは全然違うので単純な比較は出来ないとは思いますが。現物を手に入れて、初めて全貌が分かる・・・という感覚が強かったですね。

インターネットの進化による情報量の変化

2003年と現在を比べた時、圧倒的に変わったのはインターネット。
YouTubeのインプレ動画はこの数年で爆発的に増加。
InstagramやTwitterでもテニスに関連した投稿は多く見られるようになりました。
それもメーカーやブランド側だけでなく、よりユーザー側からの発信が増加
ラケットを購入しなくても、そのラケットに関して得られる情報量は段違いに増えました。

これらの要因によって[トッププロが使ってアピールする]という一方通行だったものが、
[ユーザー側からの発信・口コミ]という相互方向への情報がやりとりされるようになったのでう。

より身近な情報が欲しい購買予定層

ユーザーが発信することによって、ラケットの購入を予定している人にとってはより身近な情報が得られるようになりました。
ラケットを買おうとしてる人が考える事って、
・どんなラケットなのか?
・自分に合うラケットなのか?
こういった点だと思うんです。

そんな時に同じくらいのレベル(と思われる)人たちが「このラケットのココがいい!」って発信してたら、より安心して購入する事が出来ますよね。
これはメーカーやトッププロの発信には無いメリットだと思うんです。

ユーザーからの発信を引き出したいメーカー

となると、メーカーも黙っちゃいられない。
ユーザー側から沢山発信してもらわない手はない!となるワケです。
SNS上の発信やキャンペーンに力を入れるのは至極当然。
そしてその中の施策の1つが[黒塗りラケット]というワケなんです。

でもやっぱり黒いのが欲しい人に送るラケット!

とは言っても黒いラケットの格好良さ、たまらないですよね。
そんな人向けに、今買うことの出来る黒いテニスラケットをまとめましたよ!

どうせ買うなら、自分が一番好きな黒色のラケットをゲットしましょう!

僕たちが考えるべき事とは?

ここまで、黒塗りラケットの歴史やPR戦略の部分まで掘り下げてきました。
先ほども述べた通り広告やキャンペーンに物凄く力を入れて、沢山販売する・・・というブランドも出てくるでしょう。
中身は別物だけど宣伝の為に、トッププロのラケットが黒塗りやペイントジョブされる事もあるでしょう。

そういった中で
[モノは良いけど拡散されず有名じゃない / 売れていない]
[色々買ったけど自分に合うラケットが見つけられない]

というメーカーや人も、少なからず出てくるでしょう。

目についた情報だけに踊らされているだけでは、結局自分に合った良いラケットと出会うのは簡単ではありません。

そんな時にこそ、このアドバンテージ・ブログや、ぺんてぃさんのRACKET LABというサイトが役に立ててもらいたいのです。
ご活用下さいませ。
→ RACKET LABO (https://senchaaan.com/)

こんなオチでした。笑

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