「スピンが掛かるストリング」ってどんなものだと思いますか?
・スナップバックするコーティング系?
・ボールが引っかかる多角形ポリ?
・飛びの良いナイロン?
残念ながら全プレイヤーがスピンをかけやすいと感じられるストリングは存在しませんが、ストリングの違いによってスピンには確実に差が出ます!
今回の記事では以下の2点を重点的に解説しています!
①ストリングの種類によるスピンの掛けやすさ・スピン量の比較
②感覚的なスピン性能と、データ計測によるスピン性能の差
ストリングによるスピンの違いを知って、自分にあったストリングを一緒に見つけ出しましょう!
BEAST100+4種類のストリングで打ち比べ!
という事で今回のテストで使用したラケットはプリンスのBEAST100です!
プリンスの黄金スペック系ラケットで、パワフルさや全体的な扱いやすさが魅力のラケットですね!
グローブライドの関口さんにご協力頂きました!
今回はありがたいことにグローブライドの関口さんにご協力いただき、テスト用のラケット&ストリングをお借りする事が出来ました!
(ブログ続けてると良い事が起こるもんだぁー!)
性能的には同じなんですが、限定デザインのJPモデルが4本揃うと圧巻でテンションも上がりますね!
それぞれに特徴が異なる4種類を比較!
今回、テスト用にお借りしたBEASTに張り上げて頂いたのはこちらの4種類のストリング。
それぞれに個性があるポリエステル3種類+ナイロン1種類というラインアップになっています。
① 細いポリ:ツアーXT18 (1.18mm)
丸くて細いポリエステルストリングなのがTOUR XT18です。
一般的には細いポリ系ストリングはスピン性能も良いと感じてる人が多いのでは。
他社の製品でいくとポリツアープロ(YONEX)、レッドコード(Tecnifibre)、ハイペリオン(Signum-Pro)などが近いフィーリングを持っています。
ボールは速いけどスピンが掛かってる感じはちょい薄め
実際に打ってみるとハリのある打感で、BEASTの反発性と相まって”スパーン”と低めの速いボールが飛んで行きました!
スピンが多く掛かっている感じはなく、スピード勝負って感じですね。
ずぉさん的にはストリングのハリ感が、球出しの時に腕に響く感じがちょっと気になったそうです。でもラリー中は気にならなかったらしい。
弾道は上がらない事はないけど、上げやすくもないとのこと!
・丸型+細いポリエステル
・ハリがあって弾き出す感じ
・低めの弾道+速いボール!
・スピンはそこそこ掛かってる?
② ギザギザのポリ:ツアーXXスピン17(1.25mm)
表面にギザギザがあり特殊な断面をしているのがTOUR XX SPIN17。
多角形というよりはラフ加工に近いカテゴリーかも。
自動車のスタッドレスタイヤが地面にグリップするように、このストリングもボールをしっかりグリップしてくれます!
ラフ系ストリングだとアルパワーラフ(LUXILON)、RPMラフ(Babolat)などが上げられると思いますが、その中でもXX SPINはかなりマイルドな打球感ですね。
明らかに高くなる弾道!スピン掛かってる気がする!
マイルドな打感でホールド感も強く、XT18を使った直後にテストすると明らかに弾道が上がります!
凄いスピン掛かっているような気がする!
落差の大きいボールになりますね!
ずぉさんもXT18の後に打って、明らかに弾道が上がるのを実感。
打感は硬くはなく、スピンも掛かっていそうな印象だって!
ストリングが動く(スナップバック)のはほとんど感じられなかったようです。
・表面ギザギザの特殊な断面
・ラフ系のカテゴリーに近い
・ボールを掴む感触がある
・明らかに高くなる弾道
・落差の大きいボールが飛ぶ
・スピンかかってそうな感じ!
③ ツルツルのポリ:ハリアーレスポンス17(1.25mm)
ポリの中心部分に柔らかい素材のエラストマーを配置、表面にもツルツルのコーティングを施すなど、独創的な構造を持っているのがハリアーレスポンス17。
他社で同じような構造のものは見当たりませんが、表面に滑りを良くするという意味ではシリコン配合のポリツアーレブ/ファイア(YONEX)、RPMブラスト(Babolat)などが近いかもしれません。
スピンが掛かってるのかは良く分からん!笑
過去に感じたことのない不思議なフィーリング!
ゆっくり振っていると弾きが優位でボールが面の上を滑っていくような感じですが、厚い当たりだとホールド感がアップします。
弾道はそれほど上がらないように感じました。
スライスは乱雑に振ってもほぼ一定の弾道で飛び出す、不思議な打ちやすさでした(笑)
ずぉさんもゆっくりスイングだと飛びすぎ、しっかり振ると収まるという印象だったそうです!
弾道の上げやすさはないものの、ストリングが動いている感じがあり、スピンは掛かってそうな予感。
・独創的な構造のポリエステル
・ツルツルしたコーティング
・実際に打つと不思議な打感
・弾道はあまり上がらない
・厚い当たりでスピン掛かる?
④ ツルツルのナイロン:エンブレムタッチSF17(1.25mm)
表面に滑るコーティングを施されているナイロンがこのエンブレムタッチSF。
他社ではアイコニック・スピード(DUNLOP)、バイオロジックXX(TOALSON)、インパルス(DIADEM)などがコーティング系ナイロンとして販売されていますね。
ナイロンと言えば柔らかい打感やパワーがメリットとして挙げられますか、一方でスピン性能的にはポリよりも劣っていると言われる事が多い素材ですね。
そこをコーティングによって動きを良くして、スナップバックを引き出しやすくしています。
XT18以上に弾く!スピンは掛かってなさそう!
BEASTと組み合わせると、とにかくスッキリとボールを飛ばしてくれます!
スピンがしっかり掛かっているような感じはしませんね。
弾道が上がる感じはかなり抑えめですが、ラケット+ストリング自体がボールを強く飛ばしてくれる感じがあって、低い弾道でも深くまで飛んで行ってくれるように感じました!
ずぉさんに聞いたら、コレは好きじゃないって(笑)
弾道が上がらず、スピンも掛からない。フラット系ならなんとか合わせられたけど、普段の自分のスイングとは合わなかったそうな。
・コーティング系ナイロン
・スナップバックを引き出す?
・スッキリとボールが飛んでいく
・引っ掛かりは薄く低弾道
・スピンが掛かってる感じはない
トスマシン&手出しでストロークを検証!
テスト方法はいつも通り、トスマシン(or手出し)のボールを打って、ラケットに取り付けたZEPPのテニスセンサーでデータを計測!
テスターとしてはアドブロの中の人:TRUEMANがフォアハンドとバックハンドのスライス、アドブロ諜報部員のずぉさんは手出し+ウォーミングアップ(6割くらい)のフォアハンドを計測しました!
データ比較前の予想はこんな感じ!
実際のテストの様子、打球・弾道はこちらのツイートでチェック!
実は「ストリングの違いでスピンは変わるのか?」を検証!🤔
— アドブロ / TRUEMAN(とぅるーまん) (@ADVNTG_kotodama) March 15, 2021
今回はグローブライド関口さん(@okachimachitaro)にご協力頂き、BEASTに4種類のストリングでテストしてます!
もちろんずぉさん(@zuo_tenniskurui)も参加してもらい、いくつかの条件下で行いました👍
映像からも意外と違いが分かるかも?? pic.twitter.com/ylugYzq1V7
データでの検証を行う前に、僕個人の”感覚的な予想”をしておきましょう!
まず弾道のイメージを可視化するとこんな感じ!
・1番弾道が低いのがナイロンのエンブレムタッチSF
・ハリアーとXT18はほぼ同じ印象、XT18の方が少し奥で落ちるかも
・XX SPINはダントツで弾道が高く落差がある
これらを踏まえて感覚的にスピン(フォアハンド)の掛かりやすい順番に並び替えると、
① XX SPIN
② XT18
③ HARRIER RESPONSE
④ EMBLEM TOUCH SF
こんな感じです!
果たして感覚通りの順位となるのか、データで考察していきましょう!
ずぉさん予想:異なる順番になってる!
ずぉさんにもスピン量で予想してしてもらったら、理系っぽい返答が来たんでそのまま載せますね!
『ハリアー ≒ XXスピン > XT18 >> エンブレム』
うん、これは理系!笑
TRUEMANの回答とも異なる結果になりましたね。
もちろん人によって違いがあるはずなので、データでしっかり答えあわせしていきましょう!
データ計測+結果を考察していこう!
では実際にZEPPのテニスセンサーを用いた各ショットの計測結果をチェックしていきましょう!
フォアハンド:ハリアーが最多スピンを記録!
ストリング | 球速 [km/h] | スピン [rpm] |
TOUR XT18 | 123 (127) | 1231 (1688) |
TOUR XX SPIN | 124 (133) | 1206 (1444) |
HARRIER RESPONSE | 117 (124) | 1508 (1745) |
EMBLEM TOUCH SF | 121 (126) | 1476 (1812) |
フォアハンドを8~9割くらいのパワーでしっかり振りぬいた結果がこちら。
(※カッコ内は予想順位)
① ハリアー (XXスピン)
② エンブレム (XT18)
③ XT18 (ハリアー)
④ XX SPIN (エンブレム)
事前の予想とは大きく異なる結果となりました!
意外にもハリアーのスピン量が最も多く、ついでナイロンのエンブレムという順位になりました。
弾道の高さとは反比例する結果と言えそうですね・・・
『弾道が高い=スピンが掛かっている』とは言い切れないという事が、このデータから読みとれますね!
ずぉさんフォア:XT18が1番スピン掛かった!
ストリング | 球速 [km/h] | スピン [rpm] |
TOUR XT18 | 116 (119) | 1705 (1960) |
TOUR XX SPIN | 116 (123) | 1578 (1840) |
HARRIER RESPONSE | 116 (126) | 1636 (1974) |
EMBLEM TOUCH SF | 117 (122) | 1498 (1731) |
別日に行ったずぉさんのフォアハンド・トップスピンの計測。
① XT18 (ハリアー)
② ハリアー (XXスピン)
③ XX SPIN (XT18)
④ エンブレム (エンブレム)
ナイロンが微妙というのは感覚でもデータでも一致しているようです(笑)
『XT18>ハリアー≒XXスピン>>エンブレム』という結果ですね。
TRUEMANの計測と異なるのは、ウォーミングアップだったので再現性の高い6割くらいの力加減で打ってもらったという点。
(なのでフルスイングしたらまたちょっと違ったかも)
球速がほぼ116km/hで揃っているあたり、ずぉさんの調整力が垣間見える(笑)
スライス:フォアとは異なる結果に!ほぼ逆!
ストリング | 球速 [km/h] | スピン [rpm] |
TOUR XT18 | 89 (98) | 1694 (2043) |
TOUR XX SPIN | 85 (91) | 1923 (2240) |
HARRIER RESPONSE | 86 (93) | 1441 (1909) |
EMBLEM TOUCH SF | 81 (86) | 1774 (2147) |
片手のバックハンド・スライスをスピンの多い順で並べると以下の通り。
① XX SPIN
② エンブレム
③ XT18
④ ハリアー
フォアハンド・トップスピンの時とほぼ反対の結果になりました!
個人的にはハリアーレスポンスでスライスが打ちやすかったので、上位にくると思ってましたが最下位でしたね。ボールが滑ってるのかも。
XX SPINは食いつきの良さからか打ち出しの角度が低くなりやすく、慣れないとネットしがちでしたが、適度に薄い当たりになったのが高回転を記録した要因かもしれません!
ストリングの特性から考える適正とは?(ここが大事!)
それでは今回の打ち比べテスト&データ比較の結果から、ストリングのスピン性能・特性から自分にあったストリング選びを考えてみましょう!
ここが1番大事です!(笑)
弾道を上げたいのならラフ系(XX SPIN)がおすすめ
僕とずぉさんが共通して感じたのは、XX SPINだと圧倒的に弾道が上げやすさ・高さが出せるという点でした。
とにかくホールド感があって弾道が上げやすいので、ラリー中にネットしがちと感じている人にはXX SPINのようなラフ系・多角形ポリが救世主になってくれるはず!
ただし回転数は最多ではなかったので、そこは上手く考えて組み合わせるのを推奨します!
回転量ならHARRIER RESPONSEかXT18推奨!
弾道の上がり具合はまぁまぁという感じだったハリアーレスポンスが回転数ではTRUEMANのフォアで1位(ずぉさんも2位)と好成績を記録。
ポリ的なハリ感はありつつも、コーティングによってストリングが良く動く事でスピンが多く掛かったのではないかと思います!
そして1.18mmの細ポリ:XT18もずぉさんのスイングでは最多の回転数を記録!(普段から細ポリ使ってるのはここら辺も関係してるのかも!?)
BEASTとの組み合わせではポリ的なハリを感じられ、スピンとスピードのバランスが良いシャープなボールを打ちやすいのが特徴!
飛距離を出しやすいのはエンブレムタッチSF
ボールの引っ掛かり感は少なくすっきりとボールを弾き出してくれるので、飛距離を出しやすく感じたのがナイロンのエンブレムタッチSFでした!
なのでパワー不足でボールがショートしがちでお悩みの方にはとってもおすすめ!
僕は普段からナイロンを使いますし筋力もそれほどないのでスピンをかけつつ快適に使えましたが、僕よりも大きく振り抜くスイングのずぉさん的にはラケットも相まって飛びすぎて使いにくかったみたい(笑)
ナイロンかポリかで悩んだらこちらをチェック
ナイロンにするべきかポリにするべきか・・・って、意外と悩ましい点だったりしますよね。
そんなお悩みを抱えている方はこちらの記事をチェック!
データ分析も含めて、どう選ぶべきかを分かりやすく解説しています!
まとめ:感覚とデータを良いバランスで!
今回も打ち比べと平行してデータ比較(分析)をやりました・・・感覚とデータが必ずしも一致するわけじゃないっていうのは今回の比較からも分かりましたね!
もちろんどっちかだけが大切という事ではなく、どちらも上手く取り入れつつ、良いボールを気持ち良く打てるようにする為のヒントになればと考えて記事を作りました!
同じラケットでもストリングを変えると大きく性能・性格が変わりますので、自分に合ったストリングを選んでもっとテニスを楽しくしていきましょう!