WTAで高い使用率を誇る初代STeam100

高速化・アスリート化が著しい女子プロ(WTA)ですが、そんな苛烈な戦いの中でも非常に多くのプレイヤーに愛用されているラケットがウイルソンの初代STeam100(2012年モデル)。
Embed from Getty ImagesランキングTOP10の中だけでもアンドレーワ、アニシモワ、バドーサの3人が使用。
Embed from Getty Imagesオスタペンコが全仏を制覇した時もこのラケットでした。
それ以外にもハダド・マイア、パブリュウチェンコワ、一時期のスビトリーナなども使用していました。
WTAらしい激しいストロークを持ったプレイヤーたちがこぞって使用するモデルとなっています。
X-LOOPに加えて16×20のパターンが特徴

モデル名 | Wilson STeam100 (2012) |
フェイス サイズ | 100 inch2 |
重量 | 295 g |
バランス | 325 mm |
スイング ウェイト | SW277 (※実測値) |
フレーム 厚さ | 23 mm 均一 |
フレーム 長さ | 27.25inch |
フレックス | RA69 (※実測値) |
ストリング パターン | 16×20 |
発売 | 2012年 |
STeamという名称でありながらもBLADEと同じX-LOOPの断面形状を持っているのも大きな特徴ですね。
(※2世代目の100はウルトラツアーと同じラウンド系に変わっています)
それもあってプロが使用する際にはBLADEのコスメのペイントジョブになっていることが殆ど。
見分ける要素としては16×20のパターンであるという点と、ヨークの中央4本分がシリコンの白いグロメットになっているという点ですね。
(※最近は中央4本も黒になってきているので主にストリングパターンで見分けるような感じになってきていますね)
【打球感】
食いつきとしなりを感じる柔らかい打感

中古で比較的状態の良いSTeam100を入手したのでメンテナンスを実施、ダイアデムのエボリューション1.30mm(ナイロンモノ)を40ポンドで張ってテストしてみました。

実際に打って見るとRA69とは思えない柔らかさ・食いつきのある打球感でしたね。
X-LOOPのおかげなのか、グロメット径が大きいからなのか、とにかくボールを包み込むように捉えてくれるので安心感がありました。
スイートエリアや減衰性も良好

スイートエリアも広く感じますし、10年以上前のラケットとは思えないくらい減衰性も良好でした。
柔らかいけど軽やかに飛ばせる、その上で減衰性も良いので総じて高い快適性を実現しています。
【性能】
楽に飛ばせるのにしっかり収まる
練習からダブルスまでいろんな状況で使用しましたが、楽にボールが飛ばせるのにしっかりコートに収まる安心感もありました。
ここのバランスが非常に秀逸で、ちゃんと深さや速度は出ているのにショットがバラついたり暴れるような感覚は最小限に抑えられています。
軽い個体だったということもありますが取り回しは良好、27.25インチとちょっとだけ長いのですが気になることはありませんでした。
細かいことは気にせず打てるのが良い

このラケットの最大の魅力はあまり細かいことを気にせずに打ち抜けるという点だと思いますね。
スイートエリアは広いし打球感は快適、アシストは十分にあるのに16×20のパターンのおかげかバラつきにくい。
ストロークはもちろん、ボレーにおいてもとにかく当てさえすればなんとか返球出来る感覚はありましたね。
サーブも軽いので楽に振れますし、27.25インチのおかげでイメージ以上のスピードや回転を生み出すことができます。
【女子プロ人気の理由】
ストロークの安定性とサポート力
Embed from Getty Images
なぜこんなにも多くの女子プロ選手にSTeam100が使われ続けているのか?っていう点なんですが、ストロークの安定性とサポート力が優秀だからだと思いますね。
現代のWTAで勝つなら強力なストロークを打てるのはマストで、STeam100はそのための十分なパワーを発揮できるラケット。
その上でスイートエリアの広さ、衝撃感の少ない柔らかいフィーリング、操作性の良さなども兼ね備えており、それが女子選手に選ばれる理由となっているのだと思います。
現行モデルで近いスペックのラケットは?
STeam100は直接的な後継機種が販売されていないため、中古で探すか近しいスペックのラケットを探して使うしかありません。
現状で一番近しいと言えるのはウイルソン公式サイトと一部量販店(ゼビオ系列)のみで販売されているブレード101L v9でしょう。
実は使用されているモールドが初代STeam100とほぼ共通で、X-LOOPになっていてストリングパターンも16×20。
重さや長さが異なるものの、カスタムしていけば近しいフィーリングに仕上げられるかもしれません。
もうひとつピックアップするとしたらシフト99(99L)かなと思います。
99平方インチに16×20のストリングパターン、フレーム厚も23mmのフラットビームになっていてSTeam100に近いスペックとなっています。
完全に別モールドなのでどうしてもSTeam100とは違いが出てくると思いますが、カスタムやセッティングによって同じような使い方が出来るラケットには仕上げられるのではないかと予想します。