グランドスラム14勝、高いサービス力を誇り「ピストル・ピート」の異名を持ったピート・サンプラス。
今改めて、彼の強さと凄さを皆さんにシェアさせてください!
ピート・サンプラス (Pete Sampras)
近年のテニスと言えばBIG4(フェデラー、ナダル、ジョコビッチ、マレー)を中心として展開していますが、その前の90年代〜2000年代前半の中心的選手の1人がピート・サンプラスでした。
Embed from Getty Images最速200km/hを軽く超えるスピードと優れたコントロールが両立されたサービスを持ち、しかも相手に的を絞らせない配球の上手さもあって、とにかくブレークするのが難しい選手でした。
歴代最強の1人と表現して間違いないサンプラス、その強さを分析していきます!
ピート・サンプラスのプロフィール
名前 | ピート・サンプラス Pete Sampras |
生年月日 | 1971.8.12 |
出生地 | アメリカ ワシントンD.C. |
身長 | 185cm |
体重 | 71kg |
利き手 | 右 |
バックハンド | 片手 |
GSタイトル | <全豪> 1994、1997 <全英> 1993-1995 1997-2000 <全米> 1990、1993 1995、1996 2002 合計14勝 |
コーチ | Paul Annacone |
身長は185cmとフェデラーやナダルと同じ。
体重71kgに関してはいつの数値なのか不明ですが、キャリア初期は相当細身。(もしかしたらキャリア前半の体重なのかも。)
ウィンブルドン7回優勝、GS14回優勝
フェデラーに更新されるまで、GSシングルス最多勝利選手がこのサンプラスでした。
ウィンブルドン7回優勝を含む、合計14回のGS優勝を記録。
(全仏では96年のベスト4が最高。)
プレースタイル:S&V主体のオールラウンダー
サンプラスのプレースタイルは、サーブ&ボレーを主体とするオールラウンダーでした。
球威とコントロールが高次元で両立されたサーブで相手の体勢を崩し、ネットプレーで仕留めるのが一番の得点パターン。
なかでも、誰よりも美しく力強いダンクスマッシュはサンプラスという選手の大きな魅力の1つでした!
空中での姿勢、打点の高さ、戦術的な有効性・・・全てサンプラスが一番だと思います。
(モンフィス、飛ぶ必要ある??笑)
現役時代、サンプラスは両肘が背中側でくっつくぐらい柔らかかったんだとか!!
ラケット:プロスタッフ 6.0 85
サンプラスといえばなんと言ってもプロスタッフ85ですよね!
Embed from Getty Imagesサンプラスは引退する最後の試合までプロスタッフ85、特にセントビンセント製のものにこだわり続けました。
他の選手が使うラケットとはちょっと発色も違うし、ノーマルよりも肉厚になっているらしく、セントビンセント製のプロスタッフはいまだにオークションでは高値で取引されていたりします。
サンプラス:パーソナルスペック
そんなサンプラスが実際に使用していたとされるスペックがこちら。
ラケット | ウイルソン プロスタッフ 6.0 85 |
フェイスサイズ | 85平方インチ |
フレーム厚 | 17mm |
重さ | 384g |
バランス | 32.3mm |
SW | 367 |
ストリング | バボラ VSナチュラル |
テンション | 70lbs |
情報はいつもの通りTennisnerdさんのサンプラスの記事より、参照させて頂きました。
85平方インチという小ささも驚きですが、重量が384g!!
そしてストリングもナチュラルを70ポンド!!
現代のラケットからするとありえない数字ばかり。
ラケットの重さ+ナチュラルの反発力を上手く駆使しながら、フラットなボールをライン上に叩き込む・・・そんなプレーの為にカスタマイズされた、超パーソナルスペック。
サンプラスの強さとは?
ここからはサンプラスがなぜ強かったのか?という点にフォーカスして行きます。
圧倒的なサービス力によるキープ率の高さ
同じオールラウンダーと言っても、フェデラーよりもサーブ&ボレーの比率がサンプラスの方が断然高く1stはほぼ間違いなくネットへ、2ndでも基本的にはネットへ出てプレーをしていました。
そしてサンプラスの強さは、そのS&Vを主体としたサーブゲームのキープ率の高さにありました。
フェデラー、ジョコビッチ、錦織選手とサービスのスタッツを比較してみました。
(スマホの方は、横向きにしてもらうと見やすくなります。)
サンプラス | フェデラー | ジョコビッチ | 錦織 | |
サービスエース | 8713 | 11365 | 5722 | 1929 |
ダブルフォルト | 2949 | 2745 | 2392 | 1519 |
1stサーブ 確率 | 59% | 62% | 65% | 61% |
1stサーブ 得点獲得率 | 81% | 77% | 74% | 71% |
2ndサーブ 得点獲得率 | 53% | 57% | 56% | 57% |
ブレークポイント セーブ率 | 68% | 67% | 65% | 67% |
サービスゲーム 獲得率 | 89% | 89% | 86% | 86% |
サンプラスが特に秀でている部分は、
①1stサーブの得点率
②ブレークポイントのセーブ率
の2つになっています。
『1stサーブで効率的に点を取り、ブレークポイントになってもポイントを落としにくく、キープ率が高い』というのが、数字から読み取れると思います。
もちろん誰だってこういった形を目指してプレーしているわけですが・・・次は、より具体的にこのスタッツを支えていた要因を解説していきます。
制球力に基づいたサービスの読みづらさ
サンプラスが高確率にキープ出来た背景には、サーブの威力だけでなく、高いコントロール力を持っていいたからこそ実現出来た1st/2ndの使い方にも要因がありました。
この動画はサンプラスのセカンドサーブでのエース集となっています。
ファーストじゃないんです、セカンドサーブです!
1st:速いサーブ、2nd:バックにスピンサーブというのが一般的なセオリーですが、サンプラスは
・1stで170km/h前後のスライスやスピン
・2ndで190〜200km/hのサーブ
という配球も織り交ぜ、相手の予想を外していました。
特にアドサイドからのセンターへのスライス気味の速いサーブは脅威で、高い確率でライン上へサーブを打ち込む事が出来る選手でした。
強気に打ち込んでダブルフォルトする事もありましたが、そのほとんどがゲームの序盤。
追い込まれても確実に取り返せる球威・制球力があるからこそ出来るプレーでした。
確率とリスクコントロール
ここではリターンゲームにおけるサンプラスの戦い方に注目してみました。
サンプラスは高いキープ率を誇っていたので『1セットの間に1ブレーク取れればOK』という戦い方をする選手でした。
トータルで勝負をコントロール
リターンゲームでは本気モード/節約モードを使い分けているタイプでした。
ストロークも意外なほどアッサリとミスする事も多く、リターンゲームの序盤でポイントリードされた場面では、無駄にボールを追ったり、辛抱強くラリーする事はあまりありませんでした。
勝負所で仕留める攻撃力
ただそれで終わらないのがサンプラスの凄いところ。
リターンゲームでも、0-30とリードした場合やセット終盤になると急激にギアを上げてくるのです!
それまで、すぐミスしていたはずストロークが入る入る!
スイッチONの時のサンプラスは、フォアからは懐の広さを生かしたランニングショット、バックハンドも厚い当たりで振り抜くクロス・・・
それまでとは別人のようなショットを繰り出してきます。
(当時TVで解説していた修造さんも、これには驚いていました。)
対戦相手としてはいきなり目が慣れていないスピードでストロークが飛んでくるもんだから、対応するのは大変だったはず。
そしてブレークポイントではバックハンドからのチップ&チャージでプレッシャーをかけて、少しでも甘いボールがきたらボレーで仕留める・・・・これがサンプラスのリターンゲームの戦い方でした。
フェデラーとナダルようなライバル関係
サンプラスのキャリアを振り返るに当たって、絶対に触れておかないといけないのがアンドレ・アガシ(Andre Agassi)とのライバル関係。
フェデラーとナダルが、対照的なプレースタイルでお互いを高め合ったのと同じように、S&V主体のサンプラスとストローク/リターンに秀でたアガシの戦いはいつ見ても面白いものでした!
特に2001はUSオープンQFでは、試合を通じてお互いブレーク0、4セット全てタイブレークという激しい戦いが繰り広げられました!
フル動画もアップされたので、試合全体を見る事でサンプラスの戦い方・凄さが良く分かりますよ!
フル動画:Pete Sampras vs Andre Agassi Full Match | US Open 2001 Quarterfinal
グランドスラム優勝で引退
この2人の最後の対戦は2002年全米オープン決勝。
ライバルだった2人がキャリア晩年に、地元のグランドスラムの決勝で戦う、こんな漫画みたいにドラマチックな展開は、誰も予想していなかったのではないでしょうか。
この試合に勝利したサンプラスはGSタイトルを当時最多の14に更新、そしてその後は試合に出場しないまま、翌2003年に正式に引退を発表しました。
2人の対戦成績は、サンプラスが20勝14敗と勝ち越しています。
フェデラーのラケットもプロスタッフ
サンプラスと入れ替わるようにテニス界に君臨したのがフェデラー。
サンプラスと同じくプロスタッフ85でキャリアをスタート、サンプラスが引退した年齢を超えてもなおトップで活躍中。
プロスタッフも97平方インチへと進化し、また新たな時代を切り拓いています!
またこれ以外にもトッププロのパーソナルスペックをまとめているので、合わせてチェックしてみてくださいね!
→ プロが実際に使用するスペック!(パーソナルスペック)
まとめ:”らしさ”に溢れたサンプラス
それでは今回の記事のまとめです。
・サンプラスはキープ率が高い
・1st/2ndどちらも読みづらい配球
・ラケットは380g超の重さ
・ストリングはナチュラルを70ポンド
・勝負どころのギアをあげてくる選手
・歴代最強の1人!
いかがでしたでしょうか?
サンプラスが引退してからすでに17年。
男子テニスは大きく変わりましたが、サンプラスの凄さは少しも薄れていないと思います。
サンプラスのようなサーブは打てませんが、フォームを真似したり、親指で眉毛の汗を拭ったりと、なんちゃってサンプラスをやってました。笑
みなさんはサンプラスにどんな思い出がありますか?
もしかしたら名前だけ知っていた・・・という人もいるかもしれませんね!
時には過去の選手を振り返って分析してみるのも面白いのではないでしょうか?
みなさんのコメントをお待ちしております!
それではまた次回の記事で!