・2023RGベスト8のラケットを調査
・面の大きさはほぼ98 or 100
・男女で面の大きさに差は見られない
・黄金スペック系はかなり少ない
・ストリングパターンや重さの違いも重要
世界のトップ:ラケットのヘッドサイズはどのくらい?
先日YouTubeの動画で「ヘッドサイズの大きさ」をテーマにして語らせて頂いたのですが、トッププロがどのくらいのヘッドサイズのラケットを使っているのか?っていうのを改めて調査をしてみることにしてみました。
90年代から2000年代前半にかけてはプロ仕様=85〜95平方インチというイメージがありましたが、2000年代中盤以降はロディックのピュアドライブやナダルのピュアアエロを始めとする100平方インチ+中厚が隆盛を極める時代へと推移。
テニスラケット市場の売上で見ると、100平方インチのモデルが上位を占める割合が依然として高い状態が続いています。
そして2020年代に入ってアルカラスやルーネといった若手が圧倒的パフォーマンスを発揮する選手が台頭してきたので、今のトップ選手のヘッドサイズの傾向に変化があるのかを調べて見たいと思います。
2023全仏オープンベスト8のラケットを調査
今回の調査方法は2023全仏オープンの男女シングルス・ベスト8のラケットをピックアップして傾向を探ります。
当然トッププロのラケットは独自のカスタムが施されたもの、ペイントジョブのものも多く、正確な数値に関しては不明瞭な部分もあります。
このような場合には推定のヘッドサイズで考えることとします。
2023年全仏オープン:男子ベスト8のラケット
選手名 | ラケット | 推定 ヘッド サイズ | ストリング パターン |
アルカラス (1) | PURE AERO98 | 98 | 16/20 |
チチパス (5) | BLADE98 18×20 | 98 | 18/20 |
ジョコビッチ (3) | SPEED | 95/98 | 18/19 |
ハチャノフ (11) | BLADE98 18×20 | 98 | 18/20 |
ルーネ (6) | PURE AERO98 | 98 | 16/20 |
ルード (4) | EZONE100 | 100 | 16/19 |
A.ズべレフ (22) | GRAVITY PRO | 100 | 18/20 |
エチェベリ (-) | SPEED PRO | 100 | 18/20 |
2023年全仏オープンではエチェベリ以外、7人のシード選手がベスト8に残りました。
波乱もありましたが、ベスト8の顔ぶれをみると幅広い世代がバランス良く勝ち残っている印象ですね。
98が最大勢力!100もいるが・・・
Embed from Getty Imagesヘッドサイズは98平方インチ以下を使っているプレイヤーが5人と多く、8人全員を見ても98or100という勢力図になっています。
男子テニスで言えばサンプラスやクーリエが85平方インチのミッドサイズ、アガシやチャンが107(110)平方インチのオーバーサイズが同世代にいる時代もありましたが、現代はそのようなヘッドサイズのバラつきは見られなくなっていますね。
100もいるがストリングパターン18/20が優勢
Embed from Getty Images面の大きさが100平方インチの選手はルード、ズべレフ、エチェベリの3人。
ルードこそ中厚で16/19のパターンのEZONE100ですが、ズべレフとエチェベリは18×20のパターンなので同じ100でもより安心してハードヒット出来るモデルと言えるはず。
そして意外にも16×19はルードしか使用しておらず、16/20が2人、18/19が1人、18/20が4人で最多となっています。
2023年全仏オープン:女子ベスト8のラケット
選手名 | ラケット | 推定 ヘッド サイズ | ストリング パターン |
シフィオンテク (1) | TEMPO298 iga | 98 | 16/19 |
ガウフ (6) | BOOM (SPEED?) | 100 | 18/20 |
ハダッド マイア (14) | BLADE (Steam100) | 100 | 16/20 |
ジャバー (7) | PROSTAFF 97 | 97 | 16/19 |
ムチョバ (-) | SPEED MP | 100 | 16/19 |
パブリュチェンコワ (-) | BURN 100 | 100 | 16/19 |
スビトリナ (-) | BLADE98 16×19 | 98 | 16/19 |
サバレンカ (2) | BLADE98 18×20 | 98 | 18/20 |
男子よりもシードダウンが多いのはWTAあるあるですが、本命のシフィオンテクを中心に有力候補であるガウフ、ジャバー、サバレンカもしっかり勝ち残ってるといったところ。
98以下が4人、100が4人:男子とほぼ同じ傾向
Embed from Getty Images女子のシングルスで勝ち残った選手を調べると98以下が4人、100平方インチと思われる選手が4人。
サンプル数が少ないという側面はありますが、大まかな傾向としては男子と大きくは変わらないと言えるのではないでしょうか。
女子だから面が大きい、という傾向は見られない
Embed from Getty Images男女のラケットを比較しても、少なくともシングルスにおいては女子だから男子よりもパワフルなラケットを使っているという傾向は見られないですね。
女性プレイヤーのフィジカルの進化、ストローク技術の変化、そういった部分も道具選びに反映されてると言えそうです。
同じ属性のプレイヤー同士、高い競技レベルでしのぎを削り合うと男女ともに同じようなヘッドサイズに収束する・・・という可能性があるのかもしれません。
面の大きさからは離れてしまいますが、ストリングパターンは16/19が5人で最多、18/20が2人、16/20が1人となっていて、ここは男子と若干違った傾向が出ています。
まとめ:男女ともに98〜100平方インチが主流
今回の調査ではヘッドサイズ・面の大きさは98〜100平方インチが主流であることが改めて明確になりました。
サンプル数は少ないものの面の大きさで男女の有意な差は見られず、ストリングパターンに若干違う傾向が出ているといった程度。
選択肢が広くなったラケット市場:大きさ以外で選ぶ?
僕がテニスを始めた20年前に比べると、ラケットのスペックは細分化が進み明らかに選択肢自体は増えたと思います。
以前と比べると男女での面の大きさが違うということはなく、ストリングパターンや厚み、重量・バランスなど、面の大きさ以外の要素も考慮して選び分けする傾向が強くなったのではないかと思われます。
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ストリングパターンごとにタグ付けしています
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パワーや反発力に大きな影響を与えるフレーム厚ごとの分類はこちら。