新登場のオーバーサイズ
新たに追加されたオーバーサイズ(OS)
今回のCXシリーズで新たに追加されたスペックがこのオーバーサイズ(OS:Over Size)。
2000年代前半頃までは、多くの競技者向けラケットでもオーバーサイズが設定されていた・・・そんな時代を思い出させる1本となっています。
スペック:105平方インチを採用
モデル名 | DUNLOP CX200 OS 2021年モデル |
フェイスサイズ | 105平方インチ |
重量 | 295g |
バランス | 325mm |
RA | 62 |
フレーム厚 | 21.5mm フラット |
フレーム長 | 27インチ |
ストリングパターン | 16 x 19 |
フェイスサイズは105平方インチを採用、フレームのしなやかさを表すRA値が62とシリーズでも最も低い数値となっています。
プリンスのファントムグラファイトもオーバーサイズを復刻させて、話題・セールス共に好調。このグラファイトは107平方インチでしたので、同じオーバーサイズでもCX200は若干フェイスが小さくなっています。
セッティング:IC ALL 1.30mm 48ポンド
ストリングは他機種と同じくICONIC ALL(アイコニックオール)の1.30mmを張り上げてテストを行いました。
・105sqinchのフェイスを採用
・RA62はシリーズ中最小値
・IC ALL130を張ってテスト
打球感:CXシリーズでも最も球を掴む
CX200(無印)に比べて、しなりが強い打球感がこのオーバーサイズの大きな特徴。
ただ105平方インチというサイズ感は絶妙で、打球感は柔らかいのですが変にしなりすぎたりホールドしすぎる事もなく安心感のあるラケットです。
ファントムグラファイト107と比べると?
前記の通り”競技者向けモデルのオーバーサイズ”を再びホットにさせているプリンスのファントムグラファイト107。
トップからシャフトに向けて薄くなるフォルム(最薄17.5mm)はしなりを強く感じられ、ボールとの接触時間が非常に長く弾道も自然と高くなる印象。
それと比べると、CX200 OSは21.5mmフラットという事もあってしなりは少し抑えめかも。もちろん弾道も上がるのですが、もう少ししっかりが強い感じ。
Embed from Getty Images歴代モデルの特徴からも分かる通り、面の大きさによるしなやかさと食いつきでスピン性能が高いのがグラファイト。
CX200 OSは面の大きさによって、アシスト感や扱いやすさをアップさせたモデル・・・という違いを感じました。
・無印よりしなりが大きいOS
・ボールとの接触時間はほどほど
・グラ107よりしっかり感あり
・スピンを主眼にしたグラファイト
・乗り感やアシスト優先のCX200OS
性能:掴みによって弾道が上がる
CX200の性能的な特徴を簡単に表すとしたら、「しっかり掴んでしっかり飛ばす」というイメージ。
中厚系ラケットは剛性の高さでパワーを得ていますが、どうしても打感は硬くなりがち。
一方、CX200が面を大きくする事によってアシスト感を強めつつ、打球感はむしろ柔らかくなっているのが大きな特徴。
パワー:トランポリン効果大で飛ばせる
面の大きなラケットの魅力は、ストリングのトランポリン効果が大きくなる点。
ヨネックスのアイソメトリックやライナーテック、ウイルソンのパラレルドリリングやプリンスのパラレルホールなど、いずれもストリングの有効長や動きを高める為の機構が数多く存在しています。
それらと比べても、面を大きくする事によるストリングの働きの増大はダイナミックですね。
すごく掴んでくれるし、そこからのストリングの復元力もしっかり感じられて・・・コレは若いプレイヤーでも気にいる人がいると思いますね!
スピン:弾道も上がって回転はかけやすい
CX200(無印)と明らかに違ったのは弾道がとてもあげやすいという点。
フォアハンド、スピンサーブでは明らかに打ち出しの角度が高くなります。
食いつき感のおかげでスピンも掛かってる感じがしますし、ストリング次第でスピン量も大きく変わりそうです。
弾道の上がり方は”半自動”という感じで、フラット系の低い球も気持ちよく打てるし、スライスにしても打ちにくさは感じませんでした。
コントロール:少し暴れるけど許容範囲内
オーバーサイズのパワーがマイナスに作用するとしたら、若干ボールのコントロールが乱れやすくなってしまう点。
やはりCX200(無印)に比べると、僅かにですがコントロールがぼやける感じはあるかもしれません。
ただあくまで比較したら・・・という感じなので、実際に使ってて気になるような事はほとんどないですね。
ボレーは意外と飛びが抑えめ。
OSになって、かえってしんどく感じたのはボレーでしたね。
しなやかさ・食いつきの良さによって、ボールの勢いを吸収してしまう感じがあり、しっかり推進力を与えてあげないとショートしやすかったです。
ボレーのような小さいスイングではトランポリン効果も感じにくいですし、RA62なので弾き飛ばすラケットではないので当然っちゃ当然かも(笑)
そう言えばフッキーさんも同じような事をコメントしていたような・・・
・しっかり掴んでしっかり飛ばす!
・スピン性能は十分で弾道上げやすい
・無印よりは若干制球がぼやけるかも
・しなやか過ぎてボレーは少しつらい
データ比較:CX200+マイラケと打ち比べ!
アドブロ恒例となりつつあるデータ比較を今回も実施!
アドブロ(TRUEMAN)はマイラケであるT-Fight改、お気に入りのCX200。
ずぉさんも同じくCX200と、購入したてのヨネックスのVCORE98のデータを比較!
なおストリングは全てアイコニックオールの1.30mmを張り上げで使用しました。
フォア:シリーズ屈指のスピン量を記録
ラケット | 球速 [km/h] | 回転数 [rpm] |
CX200 OS | 112.1 | 1517 |
CX200 無印 | 109.5 | 1490 |
T-Fight 改造 | 113.0 | 1562 |
まずわたくしTRUEMANのデータですが、318gもあるT-Fight改と遜色ないデータを叩き出しています!
無印と比べるとスピン量に大きな差はないものの、球速は+3km/近く上回っておりパワフルさを物語っています。
なお回転量はCX7機種の中ではNo.2でした!(1位はCX400TOUR)
ラケット | 球速 [km/h] | 回転数 [rpm] |
CX200 OS | 121.8 | 1718 |
CX200 無印 | 123.1 | 1608 |
VCORE98 | 121.0 | 1921 |
ずぉさんのフォアハンドですが、VCORE98には及ばないものの高いスピン量を記録。(CX7機種の中で最多スピン量でした!)
無印と比較すると球速は若干下がり、スピン量が+100rpm以上勝っていています。
TRUEMANは球速にOSの恩恵があったのに対し、ずぉさんは回転量に恩恵が現れていました・・・同じラケットでもグリップやスイングによってメリットが出る部分が若干違うのかもしれません!
バックハンド:乗せて運べる感じが出てる?
ラケット | 球速 [km/h] | 回転数 [rpm] |
CX200 OS | 85.4 | 1470 |
CX200 無印 | 83.1 | 1608 |
T-Fight改 | 80.1 | 1756 |
TRUEMANのバックハンドをみてみると、球速がアップ・回転数が減少となりました。
105平方インチのフェイスのおかげか、しっかりボールを乗せて前方に大きく運べるのが数値にも現れてますね!
ラケット | 球速 [km/h] | 回転数 [rpm] |
CX200 OS | 112.0 | 1285 |
CX200 無印 | 110.3 | 1213 |
VCORE98 | 110.4 | 1197 |
両手バックハンドのずぉさんは、スピード・回転量共にVCORE98/CX200を上回る結果になっています!
フラットの傾向が強まる両手バックだと、面の大きさによるパワーアップを感じ取りやすいかもしれませんね。
人によって感じ方は異なったオーバーサイズ
今回は座談会的なノリで、このCX200オーバーサイズについても意見交換をしてきました!
・ダンロップ上條さん
・アドブロ諜報員ずぉさん
・アドブロ運営TRUEMAN
3人がそれぞれの感想をまとめてみました!
上條さん:振って使うのには不向き
フレックスも1番低くて、大きく振りすぎない人の方がメリットが感じられると思います!
CX200 OSは柔らかさもあってしなるがゆえに、イメージよりもヘッドが出てこない感じがして、結果として球がまとまりにくくなってしまうんです・・・
いやー本音で語って下さったのは非常にありがたい!笑
スイングする事でボールを飛ばしたいタイプの上條さんにとっては、思ったようにヘッドが出てこないOSはあまり相性が良くない模様。
すごく参考になります!
ずぉさん:OSとしては球が暴れにくい
105平方インチの恩恵はしっかり感じられてスピンしっかり掛かるし、セッティング次第では大きいスイングの人にも合う可能性ありそうな気がします。
大きいスイングで振り抜くずぉさん、意外とこのCX200 OSの感触は悪くなかったようです!
DUNLOP側が想定していたメインターゲットとは多少違うかもしれませんが、スピン量を生かしたプレーを目指す人には”意外とアリ”な1本かもしれません。
TRUEMAN:意外とフルスイングでもスピンで収まる
しなやかさとスピン性能の高さが相まって、意外としっかり収まるんすね。
そして丁寧にスイングして打つフラットもスライスも違和感がないので、ストロークは全般にいい感じ!
ただボレーには少し慣れが必要な気がしました。
ずぉさんと同じくDUNLOPが想定していたメインターゲット層とは少し違うプレースタイル・年代かもしれないわたくしですが、意外と振り回しても使えるなぁという感想でした。
乗せて運べる感触もあるので、フラット〜スライス系主体の人にもオススメ出来ます。
Twitter上でCX200 OSを購入された方に聞いてみても、ガシガシに攻めるよりテクニックやタイミングで戦う方がラケットの良さを引き出せるとの事!
そうですね、ガンガン打って倒すテニスよりテクニックやタイミングで闘うのがベストですね。
— たこ焼き@200㌔サーブを目指す保育園園長 (@takoyaki1121) January 28, 2021
アングルボレーとかかなり打ちやすいです。
緩急で攻めるテニスで行きます‼️😊
オススメ:ボックス感を味わいつつアシストを求める人に!
・パワーとしなやかさが欲しい人
・乗せて運べる感触が好きな人
・パワーは欲しいけど中厚嫌い
・ストローク>ボレーなスタイル
・以前OSでブイブイ言わせてた人!
CX200 OSは最近のラケットではほとんど味わえない、しなやかな打球感に面の大きさによる若干のパワーアシストが加えられた感じのラケット。
食いつきがいいので、乗せて運ぶ、引っ掛けて弾道上げて落とす・・・といったボールメイキングのしやすさが大きな魅力。
多彩なストロークから相手を崩していく、特にベテラン世代にはすごく刺さりそうな1本ではないでしょうか!!
新しいダンロップCXシリーズの選び方!
こちらの記事では、全7機種に増えたCXシリーズの選び方について詳細に解説しています!
セッティング:スピンのポリ、球離れのナイロン
今回のテストではポリ(EXPLOSIVE TOUR)とナイロン(ICONIC ALL)の2種類がありましたが、かなりテイストが変わります。
ポリなら食いつきが増しスナップバックでスピンの掛かり具合がアップ。OSの特性を生かしつつ、トップスピンを振り抜いて行きたい人にオススメ。
アイコニック・オールはハリ感があるおかげで、OS特有のしなやかさをある程度制限して、快適な球離れを実現してくれます。
僕くらいのパワーやスイングだと、このくらいのアッサリ感の方がトータルとして扱いやすかったです!
まとめ:想定外の層にも刺さりそうな1本
・105平方インチのフェイス
・シリーズ中で最もしなやかな打感
・球をしっかり掴んで飛ばせる
・トランポリン効果が大きい
・弾道が上げやすい
・ボレーにはしなやか過ぎの傾向
・ボックス感+アシスト感の1本
・色んなボールを打ちたい人に!