・50ポンドと25ポンドを徹底比較
・飛距離は25ポンドの方が出やすい
・50ポンドの方がショットがまとまる
・25ポンドだとバラつきが大きくなる
・25ポンドは意外と快適でも楽でもない
・適性範囲を見つけるのが大事
ストリングテンションでどう変わるのか検証!
今回は同じスペックのテニスラケット2本に、同じストリングを50ポンドと25ポンドの2パターンでどのような差が出るのかを比較・検証をしました。
感覚とデータの両方で比較をしてみました!
実際に打ち比べてどのような差を感じたのかという感覚的な比較はもちろん、ラケットにSONY製センサーを取り付けてデータ比較も実施。
感覚とデータの両面から比較・検証することで、ストリングを張る時のテンション選びの参考にしてただけたら幸いです。
セッティング+検証方法
ラケット | プリンス ツアー100XR |
ストリング | バボラ RPMブラスト 1.25mm |
テンション | 50ポンド 25ポンド |
重さ | 313g (オーバーグリップ込み) |
バランス | 319mm |
スイング ウェイト | SW305 SW304 |
センサー | SONY製 |
検証用ラケットはライズテニスサービスさんにご用意頂いたプリンス・ツアー100XRの2本。
スペックはほぼ同じに揃えてあり、ストリングはRPMブラストを使用しました。
検証はスリンガーの球出しをストレートに10球打って計測し、エリア内への着弾率も算出してみました。
他にもクロスへの高弾道を意識したスピン、ショートクロス、ラリー、ボレー・ストロークでチェックをしてきました。
検証動画をYouTubeで公開中
データで検証:SONYセンサーの数値で比較
比較項目 (ストレート) | 50lbs | 25lbs | 差 (50→20) |
回転 | +5.2 | +5.2 | 0 |
スイング 速度 [km/h] | 113 | 116 | +3 (2.7%) |
ボール 速度 [km/h] | 97 | 100 | +3 (3.1%) |
IN率 (エリア内) | 7/12 41.6% | 3/13 23.1% | (-18.5%) |
25ポンドの方がわずかに球速が向上・スピン量は変わらず
上の表を見てみると、50ポンドよりも25ポンドの方がボール速度が3.1%増加しているので、大きな差ではないけれど有意な差はあると言えそうですね。
(※2%までは誤差の範囲と考えているため)
スピン量は変化はなく、この数字だけを踏まえると25ポンドの方がショットの飛距離は出ているのではないかと読み取ることが出来ますね。
エリア内の着弾率は50ポンドの方が優勢
ただショットの精度=エリア内への着弾率は50ポンドの方が高くなっており、コントロールやバラつきの小ささでは50ポンドの方が優れていると言えそうです。
25ポンドは飛距離こそ出るものの長短左右のバラつきが大きく、IN率が大きく下がるという結果になってしまいました。
クロス・ヘビースピンも打ってみた:25はロスする?
ストレートは比較的直線的な弾道で打っていたため、より高い弾道と擦るようなスピンを強調するようにしてクロスを打ってみた結果が以下の通り。
比較項目 (高弾道クロス) (ショートクロス) | 50lbs | 25lbs | 差 (50→25) |
回転 | +6.7 | +6.8 | +0.1 |
スイング速度 [km/h] | 118 | 121 | +3 (2.5%) |
ボール速度 [km/h] | 88 | 83 | -5 (ー5.7%) |
50ポンド→25ポンドで変化したのを見えるとスイング速度は増加、回転はわずかに増加していたのですが、球速が5.7%も減少していました。
強く擦ってスピンを掛けようとすると、テンション低い方がストリングがたわみ過ぎてパワーロスしやすくなっていると言えそうです。
感覚で比較:25はやり過ぎ感があった。笑
比較項目 | 良かったほう |
---|---|
飛び | 25 |
回転量 | 50 |
高弾道 | 25 |
アングル | 50 |
ストローク | 50 |
ボレー | 50 |
タッチ | 50 |
コントロール | 50 |
快適性 | 50 |
好み | 50 |
飛び:25の方が単純な飛距離は出る
球出しなど何気なく打っただけでも明らかに25ポンドの方が飛距離は出るというのがハッキリと分かりました。
ただ飛距離の調整というのは結構難しく感じ、振り過ぎるとオーバー、振らなすぎると勢いを吸収してショート・・・飛ぶんだけど制御しにくいという印象ですね。
50ポンドの方が振った分だけ素直に飛ぶ、という感覚に近いのかなと思います。
回転量:50の方が素直に掛かる感覚がある
データ的には大きな差はなかったのですが、スピンの掛けやすさという点では50ポンドの方が良かったですね。
擦り上げるような感覚が50ポンドの方がしっかり感じられ、25ポンドになるとスピンを意識して振り上げても弾道が上がるだけで回転に変換されにくく感じました。
高弾道:25の方が持ち上げやすい印象
食いつきや乗っかる感じが強い分、25ポンドの方が勝手に打ち出しの角度が上がるように感じました。
ただし25ポンドだとスピンが掛けにくく感じるので、高弾道スピンというよりもちょっと早めの中ロブといった感じ。
アングル:回転が掛けやすい分だけ50が優勢
回転を掛けて短くアングルに落とすという場面では、僕は50ポンドの方が打ちやすかったです。
25ポンドも球威を吸収させるような使い方で短く落とすというのは出来たのですが、僕の感覚では50ポンドのほうが自然にアングルに打てると感じましたね。
ストローク:50の方がまとまる
スピード、スピン、確率、精度など総合的に比較すると、ストロークは50ポンドの方が良かったですね。
やはり25ポンドになると飛びは良いけどまとまらない、バラつきの大きい安心感のないストロークになってしまっていました。
ボレー:25にしてもあまり楽にはならない
道具のパワーが如実に表れるボレーですが、意外と25ポンドでもそんなに楽になるという事はなく、やはり50ポンドの方が評価としては上。
25ポンドは食いつきすぎ・乗り過ぎるのか、意外なほど自前のパワーで調整しているなという感じがしました。
ストロークの時と同じで油断してると飛び過ぎるし、合わせるだけだと吸収しすぎてショート・・・という感じでピーキーさが気になりました。
タッチ:吸収させるだけなら25だけど・・・
25ポンドはボールの勢いを吸収するという点では非常に優れているのですが、それを感覚的に調整して丁度いい飛距離にするのは難しく感じてしまいました。
50ポンドの方が全体的に弾きが強い感覚はあるものの、調整がしやすいくタッチの出しやすさはこちらが上。
コントロール:明らかに50ポンドが優勢
IN率の比較でも分かる通り、狙ったエリアにまとめるコントロール性という点では明らかに50ポンドが優勢。
25ポンドになると強弱が調整しづらく、とにかく上手くまとめることが出来ませんでした。
快適性:25は全然振動が収まらない
今回の比較で一番顕著な差が出たのは減衰性の部分で、25ポンドはとにかく振動が強く長く残ってしまって不快でした。
もちろん25ポンドならなんでも減衰性が悪くなるワケではなく、フレームとストリングの組み合わせにもよるとは思うのですが・・・今回の条件下だと、とてもじゃないですが25ポンドを長い時間使う気持ちにはなれなったですね。
好み:やはり50ポンドの方が良い
今回実際に打ち比べてみて、快適かつ確率の良いショットを打つことが出来た50ポンドの方が好みでした。
総合的に考えたら圧倒的に50ポンドの方が使いやすく、少なくとも今回の条件下で僕が25ポンドを選択することはないと感じました。
補足:飛びとコントロールはトレードオフ?
今回の検証結果だけを見れば「高いテンションはコントロールが良い」、「低いテンションはボールが飛ぶ」という風に見える部分もあると思います。
ただ実際にはどちらも適性範囲というのがあって、プレイヤーと道具に合わせたテンションを選ぶのが大事だと考えています。
極端な例えですが、普段50ポンドを使っていた人が60ポンドにしたからと言ってコントロール性や精度が上がるワケではないですし、35ポンドだった人が25ポンドに落としてより飛び感が増えるとも限らないのです。
もしも60ポンドや25ポンドのような極端な数値にしないとまともに使えないという状況だった場合、ラケットやストリングが自分のスキルやフィジカルに合っていないものを選んでしまっている可能性を考えるべきかもしれません。
アドブロでは各種ストリングのインプレを記事にまとめていますので、自分に最適なストリングを選ぶためのヒントとしてご活用ください。
まとめ:ストリングテンション比較
・50ポンドと25ポンドを徹底比較
・飛距離は25ポンドの方が出やすい
・50ポンドの方がショットがまとまる
・25ポンドだとバラつきが大きくなる
・25ポンドは意外と快適でも楽でもない
・適性範囲を見つけるのが大事