・ラケットの振り抜きって結局なに?
・振り抜き=スムーズに打てること
・空気抵抗や重さ、打感などが影響
・素振りしただけでは実は分からない
・打ち負けると振り抜きにくくなる
・スイングのスタイルで感じ方が変わる
・ラケット選びでは客観的評価が大事
テニスラケットの『振り抜き』ってなに?
ラケットの感想を友達と話し合ったり、インプレ動画見ている時に頻繁に登場するのが「振り抜きが良い・悪い」という言葉。
この振り抜きという言葉が一体何を意味しているのか、改めて深堀り解説させて頂きます。
振り抜きが良い ≒ 振り始めからフォロースルーまでスムーズ
Embed from Getty Images「振り抜きが良い」というのを簡単に表現するのであれば、ラケットを振り出してからフォロースルーまでスムーズに動かせるという事になるかと思います。
もちろん人によって多少解釈が違う部分はあるかもしれませんが、動画や記事を見ている限りでは概ね同じような意味で使われています。
振り抜きの良さに影響する要素
・空気抵抗
・重さ/バランス/スイングウェイト
・打球感 etc…
振り抜きの良い・悪いを評価する時、テニスラケットの様々な要素が影響を与えています。
空気抵抗
振り抜きに影響する要素のひとつがラケットの空気抵抗の大きさ。
基本的には空気抵抗が小さければ小さいほど、ラケットがスムーズに振れる感覚が高まります。
面が小さく薄いフレームのメリットはこの空気抵抗が小さいという点になりますね。
重さ・バランス・スイングウェイト
ラケットの重量・バランス・スイングウェイトも振り抜きに大きな影響を与える要素。
ウルトラツアーなどは軽量+トップヘビーにすることで、ラケットに勢いをつけやすくなっています。
反対にプロスタッフRF97やCX200TOURなどは、高重量+トップライトにすることでラケットのヘッドが返しやすくなっています。
打球感
振り抜きの良し悪しを測る上で、意外と無視できない要素が打球感だと考えています。
打球感が硬い・重いようなタイプのラケットだと、インパクトでラケットが大きく減速してしまいフォロースルーまでスムーズ動かせなくなってしまうことがあります。
逆にインパクトでエネルギーロスしにくいラケットであれば減速が小さくなり、フォロースルーまでスムーズに振り切りやすくなります。
振り抜き:素振りだけでは分からない?
振り抜きを『素振りした時の振りやすさ』として捉えている人もいるのではないでしょうか。
これまでに200スペック以上のラケットを試してきましたが、素振りで感じる振りやすさと実際にオンコートでプレーしながら感じる振りやすさは必ずしも一致しないと考えています。
打ち負けたら振り抜きが悪くなる
振り抜きが良い=素振りで振りやすいと考えてしまうと、面が小さくてフレームが薄くて軽いラケットが良いと表現することが出来ます。
極端に言えばテニスラケットよりもバドミントンラケットの方が振り抜きが良いとなってしまうワケです。
ですがバドミントンラケットでテニスボールを打って、フォロースルーまでスムーズに動かすことが出来るのでしょうか?
つまりテニスにおける振り抜きの良さは、ボールに打ち負けずに振ることが出来るというのも大事になるのです。
スイングのスタイル・種類によって振り抜きは変わる
Embed from Getty Images同じラケットを使ったとしても、人によって振り抜きの評価に違いが出る事があります。
というのも人によってスイングの大きさや軌道が異なり、ラケットの空気抵抗や重量・バランスの感じ方が変わってくるからですね。
そのため「だれが使っても振り抜きが良いラケット」というのは、厳密には存在しないということになります。
テニスワンさんの記事(外部リンク)にも非常に分かりやすくまとめられているので、こちらも要チェックです。
ラケット選び:振り抜きを重視するのは危険?
自分にあったラケットを探す際に、振り抜きの良さを重視して選ぶ人もいるのではないでしょうか。
過去の僕も振り抜きの良さ、特に空気抵抗の少なさなどを優先して選んでいた時期があるのですが、これは結構危険な選び方だと感じています。
良いショットが制御出来るなら振り抜きが悪くてもOK
というのも先述の通り、素振りで振りやすくても実際のラリーで打ち負けてしまうようなラケットでは試合に勝ちにくくなってしまうから。
もちろん試合の結果以上にフィーリングを重視するというのであればそれでOKなのですが、少しでもいいパフォーマンスを発揮したいのにそれに応えられないラケットを使うのはもったいないと思うのです。
振り抜きが悪くても良いショットが制御しやすく相手コートに返せる、そういうラケットを使った方がパフォーマンスは発揮しやすい=勝ちやすいのです。
※好きなのはプロスタッフツアー90でした。
主観的な評価よりも客観的評価・受けた側の評価が大事。
自分に合ったラケットを選ぶ・見つけるという時に、大事なのは主観よりも客観的な評価だというのは間違いありません。
今回の話で言えば振り抜きの良しというのはあくまでも主観的評価で、そこが高評価だとしても良いショットが打てる・相手に打ち勝てるとは限りません。
自分にあるラケットを探す時にはボールの勢いや確率といった実際にコートで起きている事実を良く観察することが大事であり、可能であれば自分のボールを受けた側がどう感じたか?という客観的な評価を基準に判断する方が失敗しにくいのです。
振り抜きの良いラケットを求める人にはこちら
今回の内容を踏まえ、アドブロ的に振り抜きが良いと感じたラケットは上記の通り。
EZONE98 (98L)はフェイスまわりの正面厚が薄く、エッジが鋭い形状になっている為、特にドライブ系を打つ時の空気抵抗が非常に少なく振り抜きが良好。
鋭いスイングを生み出しやく且つフレームがボールの弾道や飛距離を安定させてくれるため、特にストロークの打ち合いでの安心感が◎。
ピュアドライブ98はRA74という高い剛性と305g/325mm/SW300という重み組み合わさり、インパクトでのパワーロスが非常に少ないラケットに仕上がっています。
振り出しで重みは感じるものの、一度勢いがつけばフォロースルーまでスムーズに振り抜いて強打することが可能です。
ウルトラツアー95Jは軽量・トップヘビーの設計に加え、22mm均一という薄めのラウンド形状+縦長フェイスによって高速スイングが可能なラケット。
細かい操作などには不向きな部分もありますが、サーブやストロークでの振り抜きの良さと球速の出しやすさは一級品。
EXTREME TOURは軽めのSW、縦長+ラウンドによる空気抵抗の小ささが組み合わさり、スピン系のスイングでビュンビュン振り回すことが出来ます。
緩いスイングではパワー不足になりがちですが、重りを張って更なる強烈スピンを目指すための素材としても◎。
まとめ:テニスラケットの振り抜き
・ラケットの振り抜きって結局なに?
・振り抜き=スムーズに打てること
・空気抵抗や重さ、打感などが影響
・素振りしただけでは実は分からない
・打ち負けると振り抜きにくくなる
・スイングのスタイルで感じ方が変わる
・ラケット選びでは客観的評価が大事