テニスラケットの寿命について考えよう
この記事ではラケットの寿命や劣化についてまとめています。
『自分のラケットはもう寿命かな?』
『そろそろ買い替えるべきなのかな?』
こんな悩みを持っている人も少なくないのではないでしょうか。
最新ラケットから20年前のラケットまで多数テストした筆者
私アドブロは普段は最新モデルのインプレをメインにしていますが、約20年前に購入したラケットを今も所有し続けていたり、趣味として10年以上前の中古ラケットを漁ったりもしています。
ですので最新モデルと古いモデルとの差や違い、古いラケットがどこまで実用に堪えるのかという点についても、実際に使用した経験なども踏まえて解説させて頂きます。
結論:破損しなければ長期間使える
まず結論ですが、カーボン製のテニスラケットは長期間使い続ける事が可能です。
多少極端な表現になってしまうかもしれませんが、折れさえしなければ半永久的に使い続けることが可能です。
20年前に購入したラケットを今なお使用することが可能で、性能こそ違いますが楽しくプレーすることが出来ます。
アドブロ程度のパワーや使用頻度だと、最低限のメンテをしていれば長期間に渡って使用し続けることが出来ます。
ただし劣化はするので要注意
Embed from Getty Images致命的なダメージさえなければ半永久的に使えるとは言いましたが、一方でラケットは間違いなく劣化はしていくので注意が必要です。
プレー自体に問題はなくても、劣化によって新品時より性能が落ちていたり打感が変化してしまったり・・・といった可能性は大いに考えられます。
RA値が低下して反発力が下がる
性能部分に大きく影響する劣化としては、RA値の低下が挙げられます。
RA値=しなりにくさを表す数値で、この値が大きいほど反発力としては大きくなるという傾向があります。
繰り返しボールを打つ事、特に強いボールを打ったり受けたりすることでフレームに微細なダメージが蓄積され、徐々にRA値が低くなっていきます。
ゆっくりと起こる変化なので気づきにくい部分ではあるのですが、同じモデルで1年使い込んだものと新品を打ち比べてみるとかなり感触が違ったりする背景にはこのRA値の影響もあると考えられます。
樹脂パーツが劣化して硬化・破損
テニスラケットにはグロメット、バンパーなど樹脂パーツが多数使用されています。
樹脂なので当然ながら繰り返し力が加わることで劣化してきます。
(紫外線による影響もあると思います)
樹脂の弾性、滑動性などが悪くなり、打球感としても食いつきが悪くなったり衝撃が強く感じられたりする可能性があります。
グリップテープも交換は必要
フレームそのものではないですが、グリップテープ(※リプレイスメントグリップ)も劣化してきます。
握り込む力によって潰れて薄くなったり、クッション性がなくなったり、もちろん表面の滑らかさやグリップ性も低下してきます。
塗装剥げなど外観のダメージも蓄積
Embed from Getty Imagesギリギリのボールに手を伸ばした際にラケットがコートと接触して傷ついたり、バランスを崩した時にラケットを支えにするような形で体勢を立て直したりなど、プレーするほどに塗装など外観上のダメージも蓄積していきます。
長く使用し続けているとカーボン地が出てきてしまったり、本当に酷いものだと(滅多にないですが)カーボンまで削れて穴が空いてしまうことも。
塗装そのものが性能に大きく影響するワケではないかもしれませんが、塗装がボロボロになるくらい使い込んでいるラケットはRA値の低下や樹脂パーツの劣化がかなり進行していると考えるべきかもしれません。
競技志向なら2~3年前後のサイクルで買い替え推奨
致命的なダメージがなければ使い続けられる、でも劣化は起こるテニスラケット。
劣化に伴って性能も低下してくると考えられます。
大会などに出場されている方であれば、ラケットの劣化が競技力にも影響してくる可能性があるので2~3年のサイクルで買い替えるくらいの気持ちでいる方が良いのかなと考えています。
※ラリーの強度、プレーレベル、プレー頻度、並行して使用するラケットの本数によって大きく変動はしますが、5~10年という単位で使い続けるのはちょっと違うのかな・・・と思います。
ラケットは「中折れ」する?
ラケットの寿命の話をすると時々出てくる言葉が「中折れ」ですね。
中折れという言葉を使っている人の話や投稿を見る限り、外観に損傷はないけれどフレームの内部が折れていてボールが飛ばない・性能が発揮されなくなっている状態という意味合いで使われているようですね。
それ以外にも(まれかもしれませんが)、ラケットの内部で「びぃーん」というような音が響くようになってきたらから折れてる?っていうようなコメントを見た事もありますね。
実際の所、テニスラケットに中折れという現象は存在するのでしょうか?
アドブロ的見解:中折れはしない
色んな意見があるとは思いますが、アドブロとしては中折れは起こらないと考えています。
というかラケットの内部って基本的に空洞か、空洞に発砲ウレタンが充填されているものがほとんどなんですね。
そういったラケットの構造、カーボンという素材、応力の掛かり方を考えると、外観に異常がないのに内部だけ破損する「中折れ」という現象が起こるとは考えにくいワケです。
前述の通りラケットには劣化が起こり、ボールの飛びは悪くなります。
それを中折れと表現しているのかもしれませんが、個人的には適切な表現ではないかな・・・と感じています。
グリップのウレタン破損で異音がしたりする
そして素材の強度と応力の掛かり方を考えると、グリップのウレタンやエンドキャップは破損しやすいパーツですね。
こちらの記事でも触れているのですが、繰り返し使用する中でウレタンに打ち込まれたタッカー(U字のクギ)の穴が広がりエンドキャップがグラついてしまうのはよくあるトラブルなんですよね。
このグラつきがあると「ギィギィ」とか「ギシギシ」といった軋み音が出てくるようになり、プレー中に気になったり感触が悪くなってきたりします。
軋み音程度であれば補修はそんなに難しくないのですが、放置しているとどんどん重症化していく可能性があります。
ウレタンの穴が広がってしまう
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ウレタン自体にひび割れが入る
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ウレタン下のカーボン部分が割れる
ウレタン自体が割れてしまうと結構重症で、ちゃんと使えるように直すためにはウレタンの再成形が必要。
当然ながら専門のチューニングショップなどに依頼しないと修復は難しいですね。
そのウレタンが破損している状態で使い続けてしまうと、最悪の場合はその下のカーボン部分、つまりフレーム自体がひび割れたり折れたりしてしまいます。
こうなるとかなりの重症で、補修するとしてもかなりコストもかかってきますし、現実的には買い替えとなることがほとんどだと思います。
こうなる前にメンテしてあげるようにしましょう。
異音はゴミや破片の影響が大きい
ラケットトスをしたりした時にびぃーんと響くような音がする場合、フレーム内部に砂やゴミが入ったり、製造時に残ったバリが剥がれたりして共振してしまっている場合も少なくありません。
異音=フレームが折れてる=寿命と見切りをつけるのではなく、まずは内部のゴミの清掃、ストリングも新しいものへの張り替えなども検討するべきかもしれません。
メンテナンスで良い状態を保つのも大事
Embed from Getty Imagesラケットは長く使う事が出来るアイテムではあるのですが、性能を保つためにはメンテナンスが欠かせません。
ストリングの定期的な張り替えは勿論、グロメットの交換も定期的にしてあげた方がベター。
グロメット交換は見逃されがちですが大事な部分
グロメットの交換するという人はそんなに多くないと思いますが、想像以上に打球感や性能に影響を与えるパーツです。
一般レベルでも年1回でも良いので交換してあげた方がすっきりとした飛び、クリアな打球感を味わえる思います。
旧モデルになると交換用グロメットの入手は難しくなるので、今使っているラケットを長く使いたいと考えている人は複数個グロメットを備蓄しておくのがオススメです。
こちらの記事ではバンパー/グロメットの交換について解説しています。
まとめ:ラケットの寿命・劣化
・致命傷が無ければ長期間使える
・ただし劣化、性能低下は起こる
・2~3年サイクルで買い替え推奨
・中折れは実際には起こらない
・グロメットなどの定期交換をしよう
・異音が出たら早めに対処を!
・メンテナンスが大事。