テニスラケットの性能や特性を知る確実な方法、そのひとつが同じセッティングでラケットを打ち比べる事です。
今回は話題の100平方インチのラケット3種類を同じセッティングで打ち比べ、感覚的な違いはもちろん、データによる違いも考察しています!
100平方インチのラケット3本を打ち比べ!
今回は話題の100平方インチラケット3本を比較してきました!
ピュアストライク 100 | NOVA 100 | FX500 | |
フェイス [平方インチ] | 100 | 100 | 100 |
重さ [g] | 300 | 300 | 300 |
バランス [mm] | 320 | 320 | 320 |
フレーム厚 [mm] | 21-23 | 22-24 | 23-26 |
フレーム長 [インチ] | 27 | 27 | 27 |
ストリング パターン | 16 × 19 | 16 × 19 | 16 × 19 |
RA値 | 72 | 69 | 71 |
セッティング:ブラックヴェノムを45ポンド
3本のラケットにはポリファイバー・ブラックヴェノム1.25mmを45ポンドで張り上げ。
セッティングを全て同じ状態にする事で、ストリングによる差を最小限に抑えるのが狙いです。
テニスセンサー&トスマシンを活用。
そして計測にはZEPPのテニス2というセンサーを使用。
そしてソーシャルディスタンスを保つべく、練習相手には格安でゲットしたトスマシンを使用。
マガジン部分を空になったボールケースで延長、10球連続で発射出来るようにしています!
普通のストローク→スピン→強打を比較。
今回はフォアハンドで打ち比べをします。
(1)普通のストローク
(2)スピン重視のショット
(3)確率無視の強打
この3パターンでデータをとりました!
感覚的な打ち比べ結果!違いは大きかった!
まずは打ち比べた結果を、感覚的な違いから考察していきます!
打球感:3本とも異なる感触!
ストリングは全て同じですが、打球感は3本とも異なった感触でした!
<ピュアストライク100>
インパクト時の食いつき感が強め。
フェイス部分がたわんでボール掴み、ホールド感を生かしてボールを押し込んでいけるようなイメージでした
<NOVA100>
インパクト時のフレームの変形が少なく、カツンとするような板っぽい打球感。
減衰性能は良くいので手に響くような感じはありませんが、それが硬めに感じさせる要因の1つかもしれません。
<FX500>
他の2本に比べると打球感は軽め。多少の食いつきがあり、それほど神経質にならずに扱えるのは良いポイント。
ただピュアストライク100に比べると、インパクト時にボールを押し込んで行くような感触は薄かったです。
スピードの出しやすさ:FX500
スピードを出しやすく感じたのは1番フレーム厚のあるFX500でした。
明らかに初速の出方が良く、軽いスイングでもスコーン!とボールが走る印象でした。
ピュアストは食いつきが良い分、弾き出す感触は抑えめでした。
NOVAはしっかり感が強く、スピードを出すにはプレイヤー側の頑張りが必要だと感じました。
スピン:ピュアストライクが安定して掛けられる
ピュアストライクはボールの食いつき感が強く、どのスイングスピードでも回転が掛かっている感覚・安心感がありました。
NOVAは薄い当たりでは十分な食いつきを出せず、スピンの掛けやすさはあまり感じませんでした。
FX500はインパクト時に若干の食いつきはあるもののボールを一気に弾き出す感じ。ピュアストライクほどのスピン性能には感じませんでした。
・打球感は3本それぞれ異なる感触
・スピードが出しやすいのはFX500
・スピンが掛けやすいのはピュアスト
データで考察:感覚とは逆の結果に!?
ここからはテニスセンサーで収集したデータから各ショットを考察。
詳細は各項目で解説しますが、感覚とは逆の結果になっていました!
平均球速:ピュアストライクが1番速い!
特に意識せずにフォアハンドをクロスに10球打ったデータがこちら。
平均球速では121.8km/hを記録したピュアストライクが最速。
反対に113.9km/h平均だったFX500が最も遅い結果に。
(ピュアスト>NOVA>FX500の順)
スピードを最も出しやすく感じたのはFX500だったので、データによる結果は反対になっていました。
スピン:FX500が1番回転数多い!
スピン系ショットを意識して打ったショットのデータ一覧がこちら。
回転数の多さはFX500>NOVA>ピュアストの順でした!
2000rpmを記録したFX500が最多、約1549rpmだったピュアストライクが最小という結果に。
こちらも感覚とデータで逆の結果となっています。
強打:NOVAが1番良い数値!
強打したデータを確認すると、各ラケットの特徴が出ています。
ピュアスト:スピードが高く、回転数が少ない
NOVA:スピードと回転数のバランスが良い
FX500:スピードは低く、回転数が多い
・感覚とデータが逆の結果に!
・スピードはピュアストが1番
・回転数はFX500が1番
・バランスではNOVAが優秀
感覚とデータが逆の結果・・・
Embed from Getty Images今回は”感覚とデータが逆の結果“になりました。
ここではその部分について少し深掘りしたいと思います。
センサーが正しいとしたら:感覚基準はNGかも?
ZEPP TENNIS2センサーのデータが正しいと仮定したら、感覚を基準にしてラケットやセッティングを追求して行くのは難しいのかもしれません。
Embed from Getty Images例えばスピン量を増やそうとラケットやストリングをチェンジしたとして、感覚的には良くなっても実際のボールは回転量が増えていないという事が起こりうる可能性があるワケですよね。
どこかで客観的な評価が入らないと、自分の狙いとは逆の方向にどんどん進んでしまってスランプ・・・なんて現象もあるかも。
データの読み取り方・解釈が違うのかも?
Embed from Getty Imagesここではもう1つの可能性についても解説したいと思います。
それはセンサーデータの読み取り方・解釈が違うという可能性です。
テニスセンサーは加速度センサーなどを用いて、スイングの軌道やスピードからボールの数値を算出しています。つまり推定値であって、野球などで使われるスピードガンのように実際のボールを測定した値ではありません。
感覚が正しいとしたら:データを別の角度から解釈!
データの数値を打たれたボールではなく、スイング軌道の数値として解釈してみると意外と整合性が取れると思うのです。
(球速データ=スイングスピード、回転数データ=スピンをかけようとするスイング動作の大きさ)
ピュアストライクは感覚的にはスピンが掛けやすく、データ的には1番回転数が少なくなっていました。
→→→ 『ラケットのスピン性能が高いため、それほど擦るようなスイングをしなくてもコートに収められる』と解釈出来そうじゃないですか!
FX500は1番スピードが出しやすく感じたのに、データ的には1番球速がすくなっていました。
→→→ 『ラケットのパワーが大きいため、それほど速いスイングスピードでなくても球速が出せる』という解釈も出来る気がしませんか!?
そもそも”SWING ANALYZER”なんですけども!
そもそも論になってしまうものの、センサーの正式名称はZEPP TENNIS2 SWING & MATCH ANALYZER。
“SWING ANALYZER“なんです。ハイ。
僕も度々アドバイスを頂いているRTS(ライズテニスサービス)さんも、インプレではSONYのスマートセンサーを活用されています。
スマートセンサーの場合は[スイング速度]・[ボール速度]・[回転数]が数値化されており、よりスイングとボールの関係性が推測しやすいように感じます。
(※でももう生産終了なので入手困難な1品です・・・)
断言は出来ませんが、「ボールを数値化」というよりも、『スイングを数値かしている』と捉えた方が感覚との乖離が少なくて済みそうです!
センサーを導入する際には、ぜひ参考に!
動画インプレはこちらから!濃厚ですよ!
打ち比べを動画にまとめています!
実際のスイングなどを見て頂くと、今回の内容がより分かりやすくなるはずですのでぜひ。
チャンネル登録も合わせてよろしくお願いしますね!(笑)
まとめ:感覚とデータは必ずしも一致しない。でも考察の余地はある!
・100平方インチ3本打ち比べ!
・打感はそれぞれ異なる3本
・感覚とデータでは逆の結果になった
・感覚だけでセッティングするのはNGかも
・スイングデータと捉えた方が感覚に近いかも!