プリンスが誇る中厚系ラケット:BEAST(ビースト)シリーズに、待望の98平方インチが追加!
よりコントロール性を高めたこのモデル、トラディショナルグロメット・バージョンとO3バージョンの両方をインプレッション!
全力で振り切り、パワーとコントロールが両立しているボールを打ち込んでいきたい人にオススメのラケット!
かっちり感+コントロール性!
Pricne BEAST 98 / O3 98

プリンスのラインナップの中でも、パワーとコントロール性を高次元でバランスしているのがこのビーストシリーズ。
海外版BEASTとはデザインが大きく異なり、日本規格の製品となっています。
ビースト98のスペック
モデル名 | BEAST 98 (O3 98) |
フェイスサイズ | 98平方インチ |
重さ | 300g |
バランス | 320mm |
スイングウェイト | 288 |
フレーム厚 | 25-23-22mm |
フレーム長 | 27インチ |
ストリングパターン | 16 x 20 |
RA値 | – |
トラディショナルモデルとO3モデルで、基本的なスペックは共通しています。

グリップ上部からフレームトップに掛けて直線的に厚みを増すテーパー形状を採用。
フレームの断面形状は緩いラウンド形状という印象です。

グロメットは横幅が広く、穴の大きいシンプルな構造です。
PHANTOM100は両サイドが盛り上がった形状だったので、これが打球感などに差を生じさせるのかも気になる所。
テクノロジー:プリンスの技術を総動員!
BEASTにはプリンスのテクノロジーが総動員されています。
TeXtreme x Twaron | テキストリームカーボンにトワロンを編み込み。 高剛性と球持ち感を実現。 |
2ピーススロート | ストリングスの振動を抑える2ピース構造のスロートを採用。 |
エクスパンドホール | グロメットホールの径を大きくし、ストリングの動きをスムーズにしてスウィートエリアを拡大。 |
ATS (アンチトルクシステム) | フェイス10/2時部分にTeXtreme x Twaron搭載。 剛性が増して推進力をアップさせる。 |
CTS | トップ方向に均等に厚みをますフレーム形状。 トップ方向のスウィートエリア拡大などをもたらす。 |
レクサスフレーム + エアロフェイス | ボックス系とラウンド系の中間的な形状。 パワー・コントロールのバランスが良い |
セッティング:有料試打で比較!
今回のラケットはプリンス公式の有料試打を利用しています。

ラケット | BEAST 98 | BEAST O3 98 |
ストリング | TOUR XT | TOUR XX SPIN |
テンション | 50ポンド | 50ポンド |
ストリングに関しては張り上げ済みのものでしたので、結構緩んでいるかな?という感じです。
打球感:フレームのカッチリ感は共通!
どちらもタイプもフレームがカッチリ感やしっかり感が強く、思い切り振ってもブレない点は共通していました。
トラディショナル:ダイレクト感が強い!
トラディショナルタイプは、インパクト時のダイレクト感が強いのが特徴。
しっかりとした手応えもあり、ファントム100やダイアデム・NOVA100に近いフィーリング。
スウィートスポットを綺麗に捉えた時には、手応えが柔らかくなって伸びのあるボールを打つ事が出来ました!
真ん中で打てれば100点のフィーリング、少し外すと70~85点くらいになってしまうイメージでした。
O3:食いつきが強く、少し柔らかい打球感に
O3タイプになるとストリングがよく動くからなのか、食いつきが良く少し柔らかい打球感でした。
こちらの方がボールとの接触している時間が長く感じられ、スピンをしっかり掛けたいタイプの人にもフィットしそうです。
多少スウェートエリアを外しても打ち切れるので、試合ではメリットになりそう。どこで打ってもコンスタントに80~90点のフィーリングを得られるのがO3ですね。
短所はどこで打っても同じような感触になってしまいがちな事と、ストリングが良く動く分、振動止めをしないとストリングの振動が手に残るような感じがする事ですね。BEASTならポリを張る人がほとんどだと思うので、振動止め推奨です。
性能:振り切ってもコントロールが乱れない!
BEAST98を打ってみて感じた魅力は、多少のアシスト感はありながらも強打してもブレにくく、コントロールが乱れないという点。
中厚98平方インチに16×20パターンの旨味をしっかり感じられるラケットに仕上がっています!
反発力:98平方インチとしては多少アシスト有り
ラケット自体のパワーは、98平方インチモデルの中ではある程度アシストを感じられるレベルだと思います。
ピュアドライブVSやピュアストライク16/19などの98平方インチに比べると、パワーはBEASTの方が反発力は優れています。
特にトラディショナルタイプは球が食いつきすぎる事がなく、速いスイングでもパワーが効率良くボールに感じがしました。
O3だと食いつきが良い分、若干ボールの抜け・弾きは控えめ。ストリングの動きは良いので、何を張るかで大きく変化しそう。
スピン性能:凄くはないけど十分なレベル
BEASTのスピン性能は黄金スペックほどではないものの、しっかり打ち込んで行くには十分なレベル。
ボールの引っ掛かり・食いつきは明らかにO3モデルの方が良く、弾道の上げやすさには差を感じました。
トラディショナルモデルは引っ掛かり感が薄く、弾道の上げにくさを少しだけ感じました。真っ直ぐに速いボールを打ち込む方が良さを感じられそうですね。
ストロークは大きな差!サーブはほぼ同等。
2本の差を感じるのはストローク>ボレー>サーブの順でした。
特にストロークでは後述するデータを見てもらえば分かるのですが、スピン性能には結構な差を感じました。
サーブに関しては、飛び具合などに差はあるものの、ストロークほどの差は感じ取れませんでした。(十分アジャスト出来る範囲だと思います。)
データ比較:トラディショナルとO3の違い
今回もトスマシンとZEPP TENNIS2センサー(SWING ANALYZER)を使ってデータ比較を行いました。
フォアンハンドのみ、普段通りのスイングとスピンを掛けたループ系ショットの2つで比較しました!
普段通り:球速はほぼ同等。回転数はO3。
まずは特に意識せず、普段通りのショット(フォアハンド)を打ったデータを比較。

測定項目 | BEAST98 | BEAST O3 98 | 差 |
平均球速 [km/h] | 111.6 | 110.3 | -1.3 (-1.2%) |
平均回転数 [rpm] | 1525.6 | 1750.7 | +225.1 (+14.7%) |
基本設計が同じという事もあってか、無意識に打っている限りでは球速に大きな差は見られませんでした。
回転数はO3の方が約200rpmほど上回っており、回転の掛けやすさが感じられます。
スピン系:明らかにO3の方が高回転!
ループ系(山なり)のショットで比較をした結果がこちら。

測定項目 | BEAST98 | BEAST O3 98 | 差 |
平均球速 [km/h] | 108.4 | 105.5 | -2.9 (-2.7%) |
平均回転数 [rpm] | 1795.3 | 2221.0 | +425.7 (+23.7%) |
球速は若干トラディショナルモデルが僅かに速いですが、回転数はO3モデルが大きく上回っています。
やはり感覚と同じように、トラディショナルなら比較的速いボールを真っ直ぐに打ち込むイメージで、O3になると球速は僅かに落ちるものの高回転による安定性や伸びのあるボールで押し込むようなイメージと言えるでしょう。
どちらを選ぶ?トラディショナル or O3問題
スペックはほぼほぼ同じなBEAST98とO3 98の2本。
データからも分かるようにスピン性能の面ではO3が有利といえそうなので、高い弾道・高回転で攻めて行くならO3がオススメ。
トラディショナルをメリットはスウィートスポットで捉えた時の気持ち良さ、自然な使い心地、ボレーやタッチショットのやり易さですね。
ライバル比較:NOVA100やEZONE98など
トラディショナルモデルのカッチリ感、自然なフィーリングはダイアデム・NOVA100と近いイメージ。
O3タイプだと食いつく感じがヨネックス・EZONE98に近いですね。
NOVA100の自然なフィーリングが似ている!
自然な打球感・フィーリングという点ではNOVA100がBEAST98(トラディショナル)のライバルと言えるでしょう。
BEASTの方が面が小さく、ストリングも16×20と密ですが、正直パワーの面での差はほとんど感じませんでした。
フィーリングを大切にしつつガンガン打ち込む人にはBEASTがオススメ。
スライスやボレー、振動吸収性などトータルのバランスの良さを求める人にはNOVAという感じになりそう。
柔らかい打球感ならEZONE98も要検討!
2020年最も成功していると言えるラケットの1つがこのEZONE98。
柔らかくホールドするような打球感はBEAST O3にも負けないフィーリング。
ただ柔らかさを作り出しているのがEZONE98はシャフトのしなりとフェイスのたわみなのに対し、BEASTはフレームは堅牢な代わりにO3がストリングを大きく動かす事で柔らかさを実現しています。
ストリング:太めのポリが面白いかも!
フレームの剛性感はありますが、そこそこ食いつく感触を感じ取れるので、ストリングの選択肢は広いと思います。
ブラックコードやハイパーGなどの多角形ストリングをO3モデルに張って強烈なトップスピン系ショットをねじ込んで行くプレーも有り!
まとめ:パワーとコントロールのバランス良し!
・BEASTはパワーとコントロール良し
・強打してもブレないフレーム
・トラディショナルはフィーリングと球速
・O3はスピンとスウィートエリアの広さ
・ライバルはNOVAやEZONE
・色んなストリングで楽しめそう!