・”筋力がある人は重いラケット”は正しいのか?
・セオリー通りではないこともある
・筋力があると重量の選択肢が広い
・フラットなら重め、スピンなら軽めが有利
・筋力があるから軽めというパターンもある
・筋力がないから重めというパターンもある
・筋力とプレースタイルに合わせた重量を選ぶ
Cover / Thumnail : “2013 US Open (Tennis) – Fabio Fognini” by Steven Pisano is licensed under CC BY 2.0.
筋力があるなら重いラケットは本当に正しいのか?
ラケットを選ぶ際に良く言われるのが「筋力があるなら重たいラケットを使おう」というフレーズ。
筋力があればあるほど重たいものを素早く動かせる能力が高いということになるので、一見すると確かにこのセオリーはとても正しいように見えます。
基本となるセオリーではあるが当てはまらないこともある。
しかしながら現実には、筋力があるなら重いラケットを使うという一般的なセオリーが当てはまらない場合もたくさんあるんです。
がちむちマッチョの人が290gのラケットを使ってゴリゴリに打つこともあれば、華奢な人が315gのラケットを使って強烈なショットを打ち込んでくるということだって全然あるんですよね。
今回の記事では、この筋力とラケットの重さというのをより深掘りして解像度を上げる、そしてより自分にフィットするラケットを見つけるためのヒントとして活用してもらうことを目標としています。
筋力とスイングスピードは必ずしもイコールじゃない
先に触れておくべきなのが『筋力と速さ』はなからずしもイコールではないという点。
(※ここでいう速さとはスイングスピードのこと)
“筋力トレーニング”といっても成長させる能力・ステータスはそれぞれで、最大筋力や筋持久力が上がっても速く動く(動かす)ことが出来るようになるとは限らないんですよね。
なので「筋トレしたから(筋力があるから)スイングスピードが速くなる」と言い切ってしまうのは、少し強引なのかなと思います。
今回の記事では、シンプルに【筋力がある=発揮出来る力が大きい】という前提でお話をしていますのであらかじめご理解頂けると嬉しいです。
筋力がある = 重さの選択肢の幅が広い
Embed from Getty Images筋トレをする、筋力があることによって確実に得られるアドバンテージは、効果的に使えるラケット重量の選択肢の幅が広くなるという点だと考えています。
筋力があるからこそ重たいラケットでも使えるし、筋力があるからこそあえて軽めのラケットを選んでプレーすることもできる、と言えるのです。
筋力があるからこそ”軽いラケット”を選ぶ方法もある
ここでポイントになるのは、筋力があるからこそ軽めのラケットも選べるということ。
通常は軽めのラケットになるほど慣性が小さくなるので打ち負けやすくなると言われますが、筋力による強い固定力があれば打ち負け感・ブレ感を抑え込むようにして振り抜くということも出来てしまったりします。
そして軽量になったことで筋力やスタミナの消耗を抑えられるようになれば、試合後半になってもキレのあるスイングでボールを打ち込み続けやすくなる可能性もあります。
セオリー通りに重めのラケットを選ぶも良し、逆セオリーで軽めのラケットを選ぶも良し、それが筋力のある人が確実に得られるアドバンテージなのです。
筋力があるからこそ選択肢の幅を広げることが出来るのです。
フラット系orスピン系かでも選ぶべき重さは変化する
主体となるショットがフラット〜ドライブ系なのかスピン系なのかでも、選ぶべきラケットの重さが若干変わってきます。
特にスピン系を主体にしている(したいと考えている)人の場合、スピンはスイング速度に依存する割合が高いので若干軽めを選ぶというのも有効です。
スピンを打つためにはラケットを上方向=重力に逆らってスイングをしなければならないので、若干軽めにすることによって筋力の消耗を抑えやすくなるのもメリットだと思います。
一方でフラット〜ドライブ系が主体の人であれば、ある程度重量のあるラケットの方が有利でしょう。
ゆったりとしたスイングでもスピードが出しやすい、相手のボールに押し込まれにくい、ラケット重量でスイングの自由度が低い代わりに安定させやすい・・・といった使い方が可能になります。
筋力がない人は軽いモデルを選ぶべきなのか。
Embed from Getty Imagesここまでは主に筋力がある人をメインに深掘りしてきましたが、逆に筋力がない人はどうなのか?というのも考えてみたいと思います。
当然ながら選択肢の幅という点では筋力のある人ほど広くは取れないと思うのですが、プレースタイル次第では”筋力がないからこそ重ためのモデル“という選び方もあると考えています。
合わせて打つようなフラット主体なら”重いラケット”でも良い
無駄に大振りはせず合わせるような丁寧なスイングでフラット系のショットを主体にしている人であれば、筋力がなくても重ためのラケットを選ぶアドバンテージはあります。
重さがあるから打ち負けない、重さがあるからブレずにコントロールしやすい、そう感じやすいはず。
先に述べた通りフラット系なら振り上げるようなスイングではないため、重力に逆らって振り上げて疲れる・・・というのも起こりにくいのも重ため選べる要因のひとつです。
軽さがデメリットになる場合もある
筋力がないから軽量ラケットを選ぶのが間違いだとは思いませんが、それによるデメリットが生まれてしまう場合もあると思います。
そもそも軽いラケットでもしっかりした球を打つには、『軽くした分だけスイング速度が向上する』という前提が必要となります。
ラケットでもあまり振り切らない、振り回さない、速いスイングで打たないスタイルの方だと、軽くして操作性は良くなってが競技力が落ちる・・・みたいな現象が起こり得るわけですね。
筋力がない、スイングが速くない・大きくない、だからこそある程度の重さが必要という逆セオリーもあると思うのです。
まとめ:筋力、プレースタイルを考慮したラケット選びを。
・セオリー通りではないこともある
・筋力があると重量の選択肢が広い
・フラットなら重め、スピンなら軽めが有利
・筋力があるから軽めというパターンもある
・筋力がないから重めというパターンもある
・筋力とプレースタイルに合わせた重量を選ぶ
個人的な話:僕は315g超→293gへと変えて良かった。
個人的な話で大変恐縮ですが、今回のこの「筋力×ラケットの重さ」というのはすごく身近なテーマだなと執筆しながら感じました。
僕はテニス始めた頃にサンプラスやフェデラーに憧れ真似をし無事ハードスペック信仰(※小さい・薄い・重い)が染み付いてしまった人間だったのですが、この数年でようやく自分のパフォーマンスを上げられる重量は300g以下なんじゃないかと感じるようになってきました。
それまでは購入するラケットは300~310g、レザー化などのカスタムも入れると315g〜320gくらいに落ち着くというのが定番だったのですが、ふとしたきっかけでTOUR100 290gをメインラケットにしたのをきっかけにEZONE98L(285g、カスタム後297g)、ULTRA TOUR100v4(293g:ノーマルで使用中)と軽量なモデルを愛用するようになりました。
ショットスピード、スピン量は以前より良くなっている感触がありますし、体力を多少消耗した状態になってもパフォーマンスが落ちづらくなったと実感してます。
ここに至るまで約15年以上・・・必要な時間だっとは思うものの、もっと早く気づけていれば!と後悔にも近い気持ちになりましたね。
この記事をここまで読んでくださった貴方は間違いなくテニス(およびラケット)が大好きでたまらない人だと思いますので、ぜひ僕の失敗と後悔を最適なラケット重量を選ぶためのヒントととしてご活用ください。