
今回インプレするのはヨネックスの新型EZONE98(2025)。
前作よりもマイルドな打感と優れた減衰性を実現、快適なフィーリングでハードヒットできる競技者向けのラケットとなっています。
メリット |
低く安定した弾道 前作以上の柔らかさ/減衰性 スピードが出しやすい ハードヒットの安定性が良い |
デメリット |
見た目の好き嫌いは分かれる ディフェンスでは少しつらい |
YONEX
EZONE98 (2025)

約3年振りにモデルチェンジが行われ8世代目となるEZONE98 2025年モデル。

前作は98・98Lを買って2年以上メインとして使用していたラケットなので、この新型がどのような使用感になったのは非常に気になるところ。

バンパーもフレームと同色のものに変更されており、トップ部分にはEZONEという文字がプリントされています。
Embed from Getty Imagesデザインは非常にポップなものに変わり、これまでのカッコいい路線とはまた違った雰囲気のラケットになっています。
スペック
スペック | EZONE98 2025 |
フェイス サイズ | 98inch2 |
重量 | 305g |
バランス | 315mm |
フレーム 厚さ | 23.5 24.5 19.5 |
長さ | 27inch |
ストリング パターン | 16/19 |
グリップ サイズ | 2,3 |
発売予定 | 2025 1月 中旬 |
価格 | 税込 41,800 |
スペック上は前作とほぼ変わらないものの、フェイス形状の変更に合わせてフレームトップ部分の厚みを僅かに増やしています。

新旧EZONE98Lを並べて比較してみましたが、新型の方が若干ですが縦長のしゃもじっぽさがあるかもしれません。
特徴・コンセプト

フレームの厚みが増加≒打感は硬くなる傾向があるワケですが、それに対してフレーム各所のジオメトリーなどを見直すことによって快適な打球感を実現しています。
詳細はこちらの記事で解説していますので、あわせてお読みください。
【打球感】
しなやかさと柔らかさがある
柔らかさ | 1 | 掴む・乗る感触十分 |
打ち応え | -1 | 手応えは軽いほう |
スイート エリア | 2 | 面100の中でも広い |
弾き感 | 0 | 前作よりやや低減 |
安定感 | 1 | 不安定さは感じない |
減衰性 | 1 | 前作よりも向上 |
快適性 | 1 | 負担も少なく快適 |

最大厚24.5㎜+最小厚19.5㎜の”くびれ”の強いフレームになっているため、実際に打ってみるとしなやかさと柔らかさのある打球感になっています。
減衰性は優れていて、振動止め無しでも全く不快感は感じませんでした。
打ち応え・手応えはやや強めで、EZONE100と比べると力が必要ですね。
ただラリーの強度が高くなってくるとむしろこの手応えが安心感につながっているかと思います。
前作よりも柔らかく乗る印象

前作EZONE98と比べると僕は新型の方が柔らかく感じましたね。
最近のラケット市場のトレンドである減衰性≒柔らかさはしっかり押さえられていて、進化の方向性としては新型ピュアドライブ100とかなり似ていると思います。
ライバルのひとつである現行ピュアスト98も所有してますが柔らかくなり過ぎでスピードが出しにくくて不満だったのに対し、EZONEは柔らかいながらも前作と大きく変わらないスピード感があるのは好印象でした。
【性能】
よりハードヒットしやすい味付け
ストローク | 1 | 楽に深さが出せる |
ボレー | 1 | 気をつかわず返球可能 |
サーブ | 1 | スピン系も打ちやすい |
ドライブ | 0 | やや伸びが控えめ |
トップスピン | 1 | 回転量は十分 |
弾道の高さ | 0 | 98よりはやや高いが 100としては普通 |
スライス | 1 | 乗せ感が増え良好 |
パワー | 1 | アシストは強い |
操作性 | 1 | 十分なレベル |
振り抜き | -1 | ややモッサリ感あり |

基本的な性能や使い心地は前作を踏襲していますが、フィーリングが変わったこともあって新型の方が安定性重視で少し大人しい印象でした。
ラケットが何かをしてくれるというよりは、プレイヤーの強い・速いスイングに対してブレない+パワーロスせず飛ばせるのがメリットですね。
サーブ:推進力の強さで押し込む

サーブはスピンよりもスピードの出しやすさを感じやすく、ボールの速さ・深さで相手を押し込み攻撃をしていくような配球と相性良いです。
回転を掛けるならEZONE100の方が良い感じなのですが、98は弾道のブレなさが生む安定性・確率の高さで勝負できるのかなと思います。
サーブは前作とあまり大きな違いは感じず、新旧のスイッチはスムーズに出来るはずです。
ストローク:やや低めの弾道が出やすい

ストロークは前作と比べた時にやや低めの弾道になりやすくなった気がします。
ボールの引っ掛かり感が変わったというよりかは、フィーリング的に押せる・乗せる感じが強まった結果として少し低めの弾道(≒より推進力重視)が出やすくなったんだと思いますね。
ボールの飛びやスピード感は前作と遜色はなく、より安定して伸びるショットを打ちやすくなっています。

片手バックは安心して打てるラケットで、トップスピンもスライスも浮かずに安定して飛んでくれるのが素晴らしいところ。
ただし当てるだけになったり、スイングの強度が低いと飛んでくれないので、しっかり振り切るというのは必要になりますね。
ボレー:前作と変わらず

前作EZONE98・98Lでは特にフォアボレーの当て方が分からず苦戦していたのですが、新型になってもその苦戦はあまり変わりませんでしたね。
根元寄りに当ててしまうとアイソメトリックの美味しくないところになってしまうので、飛ばない+硬い感触でちょっとツラい。
ただバックボレーやスマッシュでは全然問題なく打ててますし、ストローク同様に浮きにくく安定したショットが打てるので非常に実戦向きなのかなと思います。
動画インプレはこちら
新型EZONE98にシェルトン・ハイブリッド(PTストライクxPTプロ)とPTプロ125単張りの2パターンでテストしてきました。
特にシェルトン・ハイブリッドでは推進力の強さが強調され、EZONE98の持つスピード+安定性がハッキリと感じられるセッティングでした。
98を含む全スペックをテストした動画も公開しています。
スペックごとの違いが気になる方はこちらを参考にしてください。
【メリット】
ハードヒットがより安心
・前作以上にハードヒットがしやすい
・マイルドになった打球感
・振り抜きが良い
・球威+安定性のバランス
新型EZONE98の魅力はフィーリング的に柔らかさが出たこともあり、前作以上にハードヒットしても安定・安心のラケットになったという点ですね。
打点が多少ズレても衝撃や振動が気になりにくく、多少強引にでも打ち抜いていけるのが新型の強みだと思います。
また前作同様に弾道や球威にバラつきが出にくく、実戦での安定したパフォーマンスを発揮しやすいのもメリットです。
【デメリット】
飛びと弾道調整は少しシビアに
・前作よりややハードヒッター向き
・弾道がやや低めに出やすい
単体で見ると大きなデメリットは無いものの、前作と比較した時にハードヒッター向け・フィジカルが強い人向けな印象は強まった気がします。
弾道も前作と同じように打つと低めに出やすく感じ、セッティング次第ではありますがディフェンス時に少し弾道を上げてつなげようとした時に少しツラさが出るかもしれません。
こういったデメリットに対してはストリングのセッティングをしっかり見定めることで対処するのが大事になってきそうです。
相性の良いストリング(ガット)
前作よりは細いゲージのストリングを合わせたほうが打ちやすく感じる人もいるかと思います。
PTストライクの1.20㎜などもフィットしそうなので試してみると良いかもしれません。
前作EZ98に1.20㎜単張りだと少しバラつきが出やすくなる感じもありましたが、新型で少し落ち着きがプラスされたのを踏まえるとこのセッティングでも問題なく打てそうです。
【個人的評価】
相変わらず堅実で実戦向き
ダブルス | ・・・○・ | シングルス |
ボレー | ・・・・○ | ストローク |
低弾道 | ・○・・・ | 高弾道 |
多彩さ | ・・・○・ | 安定性 |
柔らかい | ・○・・・ | 硬い |
スイートエリア 先端寄り | ・○・・・ | スイートエリア 手元寄り |
イージー | ・・・○・ | スパルタン |
旧型ユーザーの自分からすると新型の方が打球感は柔らかくなっていて、それに伴い弾きによる飛びは僅かに抑えられ、弾道も若干低くなったかなという印象でした。

前作EZ98でも弾道のブレなさ・浮かなさがシングルスでの安心感を生み出してくれていましたが、新型はそれがより低くまとまりやすくなっていて堅実で実戦向きのラケットだと感じました。
新型EZ100はより優しくなった感じがしましたが、98は少し難しくなったというかマニュアル感(≒プレイヤー側がコントロールする感覚)が増えた気がします。
ネガティブに言えばアンダーパワー気味で、ポジティブに言えば薄ラケっぽいフィーリング・力感でプレーが出来るという表現になるかと思います。
こちらの動画でも語っていますがマディソン・キーズ(BLADE系)、アルフィー・ヒュエット(PROSTAFF97)がそれぞれEZONE98にスイッチして間もないのに全豪タイトルを獲得。
このことからも薄ラケを使っていたけどプラスアルファが欲しい、そんな人には最適な1本だと思います。
若手で活躍している選手にもEZONE98ユーザーは非常に多く、VCORE98とPURE AERO98を含めた3本が現代テニスのスタンダードになっているのではないかと思います。
ライバル比較
【ライバルラケット】
・ピュアアエロ98
・VCORE98
・ラジカルMP
・T-FIGHT300S
ライバルになるのは面98+23㎜前後のいわゆる細マッチョ系ラケットになりますが、その中でもこのEZONE98・VCORE98・PURE AERO98の3本は現代テニスを代表するモデルといいう意味で要チェックですね。
フォンセカやポールなど強力なストロークを軸に攻め切るタイプや、西岡選手のように巧みな展開力を見せるタイプにも愛用されているこのVCORE98。
EZONEがパワー・スピード重視なのに対し、VCOREはスピンや多彩さも武器に出来るモデルと言った印象。
アルカラスやルーネ、最近ではチチパスも使い始めたのがピュアアエロ98。
ヨネックスの2本に比べ、より一層ハードに打った時の安定性・コントロールが高いのがこのラケット。
当代屈指のハードヒッターたちに愛されるのも納得の1本です。
旧型EZONE98との比較
新旧EZONE98を比較しても極端に大きな差というのは感じず、減衰性などを調整しブラッシュアップされたという印象でした。
使用感としては少し大人しくなった感じがあり、プレイヤー側が多少雑に打ってしまってもショットをまとめてくれる安定性が高まったように感じます。
新旧での変化の度合いは100の方が大きいような気がします。
EZONE100との比較
EZONE100と98を比べると、98の方が弾道は低くスピード(推進力)重視のラケットになっています。
シングルスしかプレーしない、体力に自信があるという人なら迷わずEZONE98を選びたいところ。
逆にダブルスもシングルスも両方プレーする、スタミナもセーブしながらプレーしたい、そんな人はEZONE100のほうが無難なチョイスかと思います。
発売日・予約情報
新型EZONE98は2025年1月から発売開始となっています。
既にオンコートで見かける機会も増えており、販売本数はピュアドラよりもかなり多そうに見えます。
合わせて買いたい
EZONE98の低弾道+強い推進力を最大限に強化したいハードヒッターにオススメなのがゴーセンのG-TOUR1。
着弾後にも威力が出るように設計された競技者向けのポリで、伸びのあるショットを安定して打ち込むことが出来るはずです。
同系色のラケットバッグもリリースされているので、EZONE98に合わせて新調してみてはいかがでしょうか。
まとめ:EZONE98(2025)
・前作よりも柔らかく乗る
・よりハードヒットしやすい味付け
・やや低めの弾道が出やすい
・ボレーは前作とあまり変わらず
・細ゲージでも良いかも
・相変わらず堅実で実戦向き
・現代テニスを代表するモデルのひとつ