・ストリングパターンでショットが変わる
・細かいパターンは推進力重視
・粗いパターンは高弾道or高回転
・プレースタイルに合わせて選ぼう!
ラケットを愛してやまない男:コトウダマサト(@advntg_kotodama)です。
今回の記事で解説させて頂くのはテニスラケットの『ストリングパターン』についてです!
これが変わると『推進力』と『弾道の高さ』に振り分けるエネルギーの大きさを調整することが出来るんです!
この記事では『ラケットのストリングパターン』について徹底的に解説させて頂きます!
・ラケット選びに悩んでいる
・ショットの安定感に悩んでいる
・もっとラケットに詳しくなりたい
テニスラケットのストリングパターンとは?
ストリングパターンとは、テニスラケットに張ってあるストリング(ガット)の縦の本数、横の本数を数値化したもののことです!
各社のHP(カタログ)でラケットのスペック・仕様を調べてみると「16×18」「18/20」のように、縦糸の本数・横糸の本数の順番で表記されています。
本数が少ない=マス目が粗い、本数が多い=マス目が細かい
この縦横のストリングの本数が少なく、ストリング間のマス目が広いのが”粗いストリングパターン“と呼ばれています。
反対にストリングの本数が多く、マス目が小さいタイプを”細かい/密なストリングパターン“と呼ばれます。
同じ本数であっても、微妙にマス目の大きさに違いがあったりするのもテニスラケットの奥深いところなんです。
ストリングパターンで何が変わる?どう選び分ける?
ストリングパターンが変わることで、スイングによって生まれた力を水平方向(スピード)と垂直方向(スピン/弾道の高さ)に振り分ける力の割合を変化させることができます。
スイングで生まれた力を振り分ける、分配器のような働きをするイメージですね!
粗いパターンになるほど垂直方向(スピン/弾道の高さ)の割合が大きくしやすく、細かいパターンになるほど水平方向に(スピード/推進力)の割合が大きくなる傾向にあります。
それぞれのパターンについて、具体的に見てみましょう。
16×18や16×19など、いわゆる”マス目が粗いストリングパターン“はボールが引っかかる感覚が強く、垂直方向に伝わる力を大きくすることができます。
その結果、スピンを沢山掛ける・弾道を持ち上げるといった調整がしやすくなっています。
一方で18x20のような”目が細かいパターン“になるとボールが引っかかる感触は少なく、垂直方向に伝えられる力は少なくなります。
その代わりに水平方向には効率良く力が伝えられるようになるため、速いボールを打ち込む・低めの弾道で安定させるという面では有利になります。
各ストリングパターンの特徴・選び方を解説!
ここからは実際に販売されているテニスラケットのストリングパターンについて、それぞれ詳しく解説をしていきます!
16×19:最も一般的でバランスが良い使用感
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・最もスタンダードなパターン
・スピードと回転のバランス
・ショットを調整しやすい
・弾道の上げ下げがしやすい
現在の市場で最もスタンダードかつ性能のバランスがいいのが16×19のストリングパターン。
ストリングのたわみ+復元によるパワーを引き出しつつも、引っかかりの良さでスピン量や弾道の高さも調整しやすいのが特徴。
迷ったらこの16×19を選ぶのがいいと思います!
18×20:低めの弾道でスピードと安定性をサポート
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・推進力を伝えやすいパターン
・弾道は低めになりやすい
・ショットのバラつきが少ない
・アシストは少ない
・ストリングの消耗が少ない
<代表的なラケット>
・BLADE98 18×20
・プレステージプロ
・グラビティプロ
・VCORE PRO97D
・CX200TOUR 18×20
<使用選手>
ステファノス・チチパス
ドミニク・ティエム
アレキサンダー・ズべレフ
アンドレイ・ルブレフなど
スイングの力を推進力としてボールに伝えやすいのがこの18×20のストリングパターン。
ストリングの本数が増えた事でたわみや引っかかり感が少なくなり、低めの弾道で速いボールを安定して打ち込むスタイルにフィットしやすいのが特徴。
いわゆるハードスペックと言われるようなラケットに採用されているパターンで、16×19では満足出来ないというフィジカルの強いプレイヤーにオススメです。
16×18:可動域UPでたわみや引っかかりを強化
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・アシストを感じるパターン
・飛びとスピンを強化できる
・ショットのバラつきを感じるかも
・ストリングがよく動く
・ストリングが消耗しやすい
<代表的なラケット>
・TOUR100
・ファントムグラファイト100
・ファントム100
<使用選手>
アレックス・デミノー
シモナ・ハレプ
(イガ・シフィオンテク)
16×19よりもクロスの間隔が広くなったことで、ストリングのたわみを引き出しパワーやスピンを出しやすくしたのが16×18のストリングパターン。
基本的な特性は16×19に近いですが、ストリングがより動きやすくなっており、アシスト感が強くなっているのが特徴です。
現状ではほぼプリンスのラケットでしか見られないパターンになっています。
ATP/WTAでも比較的小柄+機動力が高い+ストローク戦主体の選手に選ばれる傾向があり、道具のパワーをしっかり利用したい人向けのパターンになります。
16×20:ドライブ系ショットを打ちやすいタイプ
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・推進力を出しやすいパターン
・18×20よりアシスト感あり
・16×19より安定性重視
・カッチリ系フレームに多い
<代表的なラケット>
・ピュアアエロVS
・ULTRA TOUR95
・グラビティMP
・エレベート
・BEAST98
・VCORE95
・Ki Q+5
・クラッシュ98
<使用選手>
カルロス・アルカラス
錦織圭
フェリックス・オジェ=アリアシム
ある程度ボールの引っかかり感は残しつつ、しっかりとした打球感をプラスしているのがこの16×20のストリングパターン。
クロスのストリングが20本になった事でストリングのたわみは抑えられているものの、18×20と比べるとそこまでハードではないという味付け。
力のあるボールを高い精度で打ち込みたいという人向けのストリングパターンと言えるでしょう。
その他:18×19、18×18やSラケなど
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・より個性を強めたモデル多数
・縦糸より横糸が多いSラケ
<代表的なラケット>
・プレステージMP
・T-Fight RS305
・プロスタッフ97S
・PHANTOM F1(18×18)
<使用選手>
ノバク・ジョコビッチ(18×19)
ダニール・メドヴェデフ(18×19)
グリゴー・ディミトロフ(18×17)
モデル数は少ないのですが、他にもストリングパターンはいくつか存在しています。
ジョコビッチやメドベデフが使っている18×19、ウイルソンのSラケシリーズ、ファントムF1の18×18など挙げられます。
ストリングパターン=エネルギーの分配器
ストリングパターンはインパクトの際に、上方向と前方向に力を振り分ける割合を変化させる装置だと考えています。
基本的には本数が多くなればなるほどに前方向に伝わる力が大きくなり、本数が少なくなるほど上方向に伝える力が大きくなりやすいと考えると、実際のラケット選びのヒントにしやすいのではないでしょうか。
ストリングパターン:解説・まとめ
・粗いほど上方向に力を伝えやすくなる
・細かいほど推進力を高めやすくなる
・プレースタイルに合わせて選び分けよう