アスタリスタ・アーマード
( トアルソン )
・ポリっぽい使い方が可能
・コーティング+異弾性コア
・エッジの効いた8角形断面
・しっかりスピンで打ち抜ける
・カチッと硬めの打球感
・弾道の調整幅は広め
・ナイロンとポリで揺れる人に
・ライバルはいないかも?
今回は強化系ナイロンのヒット作となりそうな予感のする『アスタリスタ・アーマード(トアルソン)』をインプレッション。
ザックリ解説:”ポリみ”のあるナイロン
こういう人にオススメ |
打ち応えのあるナイロンが欲しい ナイロンでもスピン打ちたい ポリ/ナイロンで悩んでいる ヨレにくいナイロンが欲しい |
特徴 |
強化系ナイロンの最新型 パワーロスは最小限 引っ掛けて打つスピンも対応 耐久性は高め |
これまでにもいくつか販売されていた強化系ナイロンの中でも、明らかにポリっぽく使える度合が強まっているのがこのアスタリスタ・アーマードの大きな魅力!
スペック/仕様
製品名 | トアルソン アスタリスタ・アーマード |
素材 | 異弾性複合コア 耐摩耗糸 高性能モノフィラメント サラサラコーティング |
断面形状 | 8角形 |
構造 | モノ |
太さ | 1.25mm 1.30mm |
色 | ブラック |
価格 | 税込3、080円 (12.2m) |
発売日 | 2023年 8月 |
特徴・テクノロジー
ソフトな打球感とスピードを生み出すアスタリスタコアへ耐摩耗糸をラッピングし、切断耐久性がアップしました。
https://store.toalson-sports.com/items/77972840
また、糸の滑りを良くするコーティングを施し、さらに8角形に成形することでスピン性能も向上し、ポリエステルライクなナイロンストリングが誕生しました。
アスタリスタ・アーマード最大の特徴が8角形の断面形状を採用しているという点。
これまでナイロンで強化繊維を入れたもの、一部凹凸を作って引っ掛かりを強化したものなどはありましたが、多角形になっているのは非常に珍しいですよね。
実際の表面を見てみても角・面が非常にハッキリしていて、同じ八角形のRPMブラストやポリツアーレブと比べてもシャープな多角形であることが分ります。
インプレ・評価
パワー | 1 | 硬さでロスを抑えてる |
スピン性能 | 1 | ナイロンとしては最上級 |
アシスト | -1 | 合わせるだけだとNG |
トップスピン | 1 | ポリ使用者でも満足 |
スライス | 0 | ブロックする感じが○ |
打感の柔らかさ | -1 | ナイロンとしては硬い |
反発力 | 0 | 硬さで弾き返す感じ |
飛び | 1 | 振った分しっかり飛ぶ |
打ちごたえ | 2 | ナイロンでは最高クラス |
滑り | 1 | サラサラ系でヨレにくい |
引っかかり | 1 | 弾道は非常に上げやすい |
快適性 | -1 | ガシッとした打ち応え |
耐久性 | 1 | 耐摩耗性も非常に高い |
コスパ | 1 | 長く使えるナイロン |
強化系ナイロンらしさをしっかり体現しており、特徴がしっかり出ていると感じました。
しっかりとした打球感、滑りの良さと8角形が生み出すスピンの掛けやすさ、耐摩耗性の高さなど、ポリではないけどポリっぽく使えるナイロンストリングといった印象です。
打球感:カッチリ+しっかり打ち応え
打球感はハッキリ・クッキリといった感じで、ナイロン系としてはかなり硬め。
ライバルになるであろうゴーセンのCX系と比べても、アスタリスタ・アーマードの方が硬さを感じます。
標準的なポリエステルと比較すると手応えの重さ・打ち応えには多少差があるものの、コンセプト通り”ポリエステルライク”なフィーリングに仕上がっていると言えるかもしれません。
性能:しっかり打てる・しっかり掛かる
硬めの打球感、エッジの効いている8角形が組み合わさったことで、従来のナイロンにはない打ち抜ける安心感・スピンの掛けやすさを実現しています。
サーブ:フラットからスピン系まで打ちやすい
硬さを活かして打つフラット系はもちろん、引っ掛かりの良さを使った回転系のサーブまで打ちやすく感じました。
標準的なナイロンであれば軽いスイングでフラット系を打ちやすいという製品が多いのですが、アーマードはガッツリ振ることでスピードが出るという感じ。
リターン:しっかり打ち切って跳ね返せる
標準的なナイロンでは強いサーブに対して頼りなさを感じる事がままありましたが、アーマードであればしっかり打ち切って跳ね返せる安心感があります。
逆に当てるだけのスイングだと飛距離は出にくく、楽をしたいのであればナイロンマルチとかを選んだ方が無難かも。
ストローク:使える弾道の幅は非常に広い
アスタリスタ・アーマードの良さを最も強く感じられたのはストロークにおける弾道調整のしやすさ。
普通の丸いナイロンだと弾道は低め+球質はフラット寄りになりがちだと思うんですが、アーマードなら強めのフラットから擦って持ち上げるようなスピンまで幅広く対応可能。
特に違いを感じたのがフォアに振られた時で、少し高めの弾道でスピンを掛けたショットでつなぐというのが非常にやりやすくなってます。
ボレー:ポリに近い使い心地
ボレーに関しては結構ハードな印象で、ナイロンというよりはポリに近い使い方を求められるように感じました。
強めのインパクトをしてあげることでパンチの効いたボレーが出来る一方、他のナイロンのような軽やかさやスイートエリアの広さは感じにくかったですね。
耐久性について:潤滑剤併用の方が良いかも
【滑り具合を比較】
— アドブロ / コトウダマサト(TRUEMAN) (@ADVNTG_kotodama) September 22, 2023
張りたてのアスタリスタとアスタリスタ・アーマードの滑り具合を比較してみました。
正直動画では伝わりにくいし鼻息ばっかり拾ってるんですが、アーマードの方がスルッと滑ってもとに戻る感じが強いです!
ナイロンのヨレて戻らないのが気になる人は試す価値アリと判断。 pic.twitter.com/I4IZU3qu9G
表面の滑りも良好でスナップバックしやすくスナップバックしやすいアスタリスタ・アーマード。
数ゲームずつ使用した後の滑り具合を比較。
— アドブロ / コトウダマサト(TRUEMAN) (@ADVNTG_kotodama) September 22, 2023
カシカシ音がしていて元の位置に戻りにくいアスタリスタ、若干音はするもののスルッと元の位置に戻りやすいアーマード。ポリと同じレベル・・・とは言わないけれど、ナイロンのコーテイング系の中では良く滑る方だと言えますね。嫌いじゃない(笑) pic.twitter.com/sswjGuZlgL
しかしながら使い込むにつれて表面のツルツル感はなくなり、どうしてもザラツキが気になるようになってきます。(※それでも標準的なナイロンよりはヨレにくいのですが)
【*アスタリスタ・アーマード】
— アドブロ / コトウダマサト(TRUEMAN) (@ADVNTG_kotodama) October 5, 2023
累計で約4時間使用したので、滑り具合・ノッチの出来具合をチェック。
[滑り]
流石にパキパキして戻りにくくなった。でもポリも音はする事あるし、少なくともナイロンでは優秀。潤滑剤塗っても良さげ。
[ノッチ]
太さの1/5位が削れ、繊維感はなくポリっぽいノッチ。 pic.twitter.com/LY5gb6S4QI
4時間ほど使うとこの動画のようにパキパキ音が増え、滑って戻る動きも出にくくなってきます。
ただポリでも似たような音がすることはありますし、滑りにくくなったとは言えナイロンの中では優秀な水準なのではと思いますね。
ノッチも出来てきましたが繊維感は全くなく、ポリのノッチに似たような削れ方でした。
スピンプラス2のような潤滑剤を塗布してあげると一気に滑りが回復するため、より長い期間に渡って性能を引き出すことが出来ると思います。
メリット / デメリット
・弾道の調整出来る範囲が広い
・スピンが掛けやすい
・ハッキリとした打ち応え
・耐摩耗性も平均以上
・ポリっぽく使える
・振らないと良さは出にくい
・ナイロンとしては硬め
・表面のツルツル感はすぐなくなる
こんな人にオススメ
アスタリスタ・アーマードがフィットするラケット、プレイヤーについて考察してみました。
ラケット:しなやかな薄ラケにも合わせてみたい
しなやかな薄ラケ、特にボックス系のラケットになるとポリを合わせるとハードな使い心地になってしまいがち。
そこにアスタリスタ・アーマードを合わせればポリよりは優しいけど十分な打ち応え、丸形ストリングの時よりも幅広い弾道の調整幅を出しやすくなるのでは?と思います。
プレイヤー:ポリとナイロンの狭間で悩む人に
トアルソン公式もターゲットを①ナイロンモノを3カ月以内に切ったことの無いプレイヤー、
②ナイロンからポリエステルに移行しようとしているプレイヤーとしています。
ポリとナイロンの狭間で悩んでいる人は試す価値はあるはずです。
反対にポリで1ヶ月以内に切れる・張り替えるというレベルの人なら、無理してスイッチする必然性は薄いかもしれません。
ライバル・比較
<ライバル>
・AK PRO
・AK PRO CX
・エクサルト
・ベロシティマルチ
・ポラリス
・ポリツアープロ
・ポリツアーファイア など
ポリエステル系も含めてライバルとなりそうなストリングをピックアップしてみると上記の通り。
アスタリスタ・アーマードの優位性は?
ライバルストリングと比較すると、ナイロンでありながらカチッとした硬めの打球感であること、多角形を採用したことでスピンの掛けやすさが向上しているという点だと思います。
競技者向けマルチとして打ち出されているエクサルトよりも明らかにカチッとした打ち応えがありますし、CX系以上の滑りの良さも持っていると思います。
またポリツアープロやファイアがポリ系では近いフィーリングだと思いますが、アーマードは8角形断面なの引っ掛けるようなスピン、弾道の持ち上げやすさでも同等以上になっています。
他製品と比較しても非常に個性が強い・独自性の強いモデルであり、ガッツリ同じテイストのライバルは現時点ではほぼ存在しないと言えるかもしれません。
まとめ:アスタリスタ・アーマード
・ポリっぽい使い方が可能
・コーティング+異弾性コア
・エッジの効いた8角形断面
・しっかりスピンで打ち抜ける
・カチッと硬めの打球感
・弾道の調整幅は広め
・ナイロンとポリで揺れる人に
・ライバルはいないかも?
アドブロ (コトウダマサト/TRUEMAN)
・30代男性
・テニス歴約20年
・オールコートプレイヤー(自称)
・EZONE98L+PTストライクコンボ
・ラケット購入本数100本間近
・ラケット累計200本以上テスト
・ストリングは200パターン以上テスト
アドブロの詳しいプロフィール
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オマケのつぶやき
”ポリライクなナイロン”っていう攻めたストリングをトアルソンが出してきたわけですが、想像していた以上にコンセプトをしっかり体現してるなと感じました。
ナイロンだけどナイロンらしくない、ポリじゃないけどポリっぽさがある、そんな独自性の強いストリングに仕上がってますね。
ただ少し懸念しているのは「じゃあもうポリで良くね?」って感じる人も一定数いそうな所。
ナイロン~ポリ間で悩む人がメインターゲットですが、同じような層を狙ったテクニの異素材ハイブリッド系がそれほどシェアを獲得していないことを考えると・・・その壁を越えて定番製品の座を獲れるのかが今後の注目ポイントとなりそうですね。