スタン・バブリンカのラケットを再現!
Embed from Getty Images歴代最強の片手バックハンドと言えばスタン・バブリンカ(ワウリンカ)は間違いなく筆頭候補に挙げられる名前ですよね。
2014年全豪OP2回戦でバブリンカを生観戦したことがあるのですが、生で見たあの片手バックハンドの強烈さに魅了されたのは今でも鮮明に覚えています。
それから10年、バブリンカが使うラケットの中身だと言われているVCORE95Dを購入。
ライズテニスサービスさんにご協力頂きまして、バブリンカのパーソナルスペックを出来るだけ再現したラケットを作成。
トッププロが実際に使用しているスペックを、一般人代表アドブロが打ってみたらどうなったのか?どう感じたのか?をレビューしていきます。
VCORE95Dをカスタムした370g超、SW360のモンスタースペック
ラケット | YONEX VCORE95D |
総重量 | 372g (オーバーグリップ込) |
バランス | 32.2mm |
スイング ウェイト | SW360 |
RA値 | RA63 |
グリップ サイズ | 4-3/8 (G3) ヨネックスレザー |
ストリング パターン | 16 x 20 |
ストリング | バボラ RPMブラスト 1.30mm |
テンション | 28kg x 26kg (61.7lbs x 57.3lbs) |
引用1:https://tennisnerd.net/gear/racquets/pro-player-racquets/stan-wawrinkas-tennis-racquet/3069
引用2:https://tennisnerd.net/gear/racquets/pro-player-racquets/stan-wawrinkas-racquet/16763
バブリンカが実際に使っているとされるスペックは上記の通りで、総重量で372g・スイングウェイトがSW360(Strung)という怪物級ラケット。
僕が長らく使っていたEZONE98L改が総重量320g・スイングウェイトがSW310程度でしたので、+50g/+SW50ポイントというあり得ないレベルの数値差がありました。
バブリンカのパーソナルスペックについての詳細はこちらの記事で解説しています。
RPMブラスト130を62×57ポンドという高テンションで張上げ
ストリングのセットアップもなかなかハードで、バボラ・RPMブラスト1.30㎜を約62x57ポンドで張っていると言われています。
(※諸説あるようですが、その中でも一番高いテンションを選択しています。)
カチッとしたフィーリングが特徴のブラストを60ポンド超で張上げ・・・もう想像がつかないです。
バブリンカ・レプリカラケットの完成
チューニングによって完成したレプリカラケットがこちら。
フレーム | VCORE95D |
総重量 | 373g Unstrung:355g |
バランス | Unstrung 312mm |
スイング ウェイト | Unstrung SW330 |
グリップ サイズ | G3 KPIレザー |
スペックは上記の通りとなっており、RPMブラスト130の推定重量などを考慮してターゲットスペックを算出しチューニングして頂きました。
ストリング無し+オーバーグリップ有りの数値となっているのですが、バブリンカのオーバーグリップの巻き方の特徴であるちょっとだけレザーを露出させるというのも再現した状態で計測して頂きました。
めっちゃ重いけど意外と使えたかも!
こちらの動画ではバブリンカのパーソナルスペック・ラケットを使って、ダブルス・シングルスに奮闘するアドブロの様子を見て頂くことが出来ます。
実際にこのラケットを使ってみた感想としては、メッチャ重たいけれど意外なほど使えたなと思いましたね。
重さとVCORE95D由来のツラさはあるけど面白い1本
総重量373g+SW360はこれまでに体験したことのないズッシリとした重りがありましたし、そこにVCORE95D自体が持っている特性が組み合わさってとにかく常にツラさを感じてしまうラケットでしたね。
ただそのツラさの一方で、しっかり振り切って打つことが出来れば強い推進力+深さのあるショットを打ち込むことが出来ました。
バブリンカの片手バックハンドの破壊力も納得。
打球感は骨太というか強い芯がある感じでカッチリしているものの、インパクトでのほんのりとした食いつき感もありましたね。
パワーロスも最小限(というかロスを補って余りある物理的エネルギー)で、相手を押し込むようなショットも時々打つことが出来ました。
シングルスの方がラケットの良さが光る
ラケットの重量があり取り回しもお世辞にも良いとは言えないこともあり、ダブルスでの速い展開・瞬間的な操作には不向きなラケット。
シングルスでのプレーの方がラケットの良さが引き出せる感じはありましたね。
こちらが攻撃的にプレーすることが出来れば普段の1.3倍くらいの球威を発揮、フォアもバックも強く直線的なショットでポイントを奪うことが出来ました。
注意点としては球威は1.3倍、スタミナの消費は2倍くらいに感じるという点ですね。
男子プロ=重くて飛ばないラケット?
Embed from Getty Images僕がテニスを始めた2000年代前半、男子トッププロ選手のラケットは重い・小さい・薄いが当たり前だった時代。
いわゆるハードスペックとされるような重くて飛ばないラケットを使う選手が非常に多かったんですよね。
今回のバブリンカは勿論、フェデラーやジョコビッチも高重量+フェイス小さめのラケットを使っています。
プロ級の筋力が無いと扱えないラケットというロマン武器みたいな設定がたまらなく格好良く見えて、そういったハードスペックに憧れ挑戦したのは僕だけじゃないはず。
ラケット選びに関しても「振れる範囲で重たいもの」という風に解説するメディアも多かったと記憶しています。
「筋力があるから軽めのラケット」という傾向が近年強まる
ところが近年活躍する選手のパーソナルスペックを調べると、市販品のラケットより極端に重いのは減少傾向にあるように感じています。
Embed from Getty Images2024年のGSを2勝ずつ分け合ったシナーとアルカラスですが、実はどちらの選手もフレーム自体は310g未満と言われています。
(※アルカラスが305g、シナーがストラングで325g→アンストラングだと推定308g程度)
これまではフィジカルの強さで高重量ラケットを使う事でパワーを生み出していたのが、もっと軽いラケットを使ってスイングスピードを高めることでパワーを生み出すスタイルに変化してきているように見えます。
車で例えるなら大排気量からダウンサイジングターボに、高トルク型から高回転型への変化という感じですね。
筋力があるからこそ軽量なラケットを使っても打ち負けない、スイング速度を高めても正確なインパクトを作り出す能力があるからこそ、こういった市販品のような重量でATPツアーで活躍することが出来るのだと思います。
筋力とラケットの重量についてはこちらの記事もぜひご参考に。
フラット系+丁寧スイングなら高重量はあり
ということで現在のトレンドは軽め+スイングスピードによる高速パワーとなっていますが、バブリンカのパーソナルスペック使ってみて重いラケットには重いなりのメリットもあると感じました。
一番のメリットはゆったり振っても球威・深さが得られるということですね。
なので特にフラット系で丁寧にスイングしてコントロールするようなタイプ、特にベテラン世代に多いプレースタイルの場合はある程度重いラケットのほうが勝ちやすくなる可能性はあります。
重みを上手く使えるのであれば、軽量なモデルより振り回す必要が無いのでスタミナ消費を抑えらえる可能性まであります。
スピン系主体で振り切るなら軽めがベター
一方で大きく速いスイングでスピン系ストロークを打ち込みたいのであれば、ある程度軽めのラケットの方が良いと思います。
過去のラケットで言えばG360ラジカルMP(295g)、ダンロップ300G(290g)などのように、標準よりも軽いけれど競技志向のプレイヤーに支持されたモデルみたいな感じですね。
特に男性だと300g未満のラケットに抵抗感を持っている人も一定数いるかもしれませんが、現在のテニスラケットであれば300g未満であってもブレないですし振り切れれば打ち負けるようなこともありません。
まとめ:バブリンカのレプリカラケットをレビュー
・バブリンカのラケットを再現!
・370g超+SW360の怪物級
・ブラスト130を62×57ポンド
・再現度の高いレプリカを作成
・重いけど意外と使える
・シングルスのほうが旨味あり
・筋力があるから重いラケット?
・トップ選手でも市販級の重量