日本が誇るダブルス職人:青山修子選手
Roland Garros開幕5日目の本日はW TEAMの青山修子選手(ペア:柴原選手)、加藤未唯選手(ペア:sutjiadi選手)が女子ダブルス初戦に挑みます!
— WilsonTennisJapan (@wilsontennisjp) June 1, 2023
また加藤選手はMIXダブルスにも出場します。
ULTRA TOURを武器にパリでの活躍を応援しましょう📣!
★青山選手より会場写真をいただきました🎾 pic.twitter.com/MbDHvBD7RD
日本勢の中でも屈指のダブルスIQの高さで活躍し続けているのが青山修子選手。
154cmと女子選手の中でもかなり小柄な青山選手ですが、ネット前での俊敏なフットワークや思い切りの良いボレーによって一撃でポイントを終わらせる力を持っています。
ジョコビッチと同じ1987年生まれ
青山選手なんですが実はジョコビッチと同じ1987年生まれで、大学卒業年の2010年にプロ転向している大ベテラン。
今なおグランドスラム本戦出場を続けており、BJK杯など日本代表選手としても第一線で活躍しています。
青山選手のラケット選びを考察!
今回は青山選手がWTAの中で戦い続けるために選んできたテニスラケットを振り返り、そこからラケット選びのエッセンスやヒントを考察してみたいと思います。
ここでは主にウイルソン契約後のラケットについてフォーカスして情報をまとめています。
2021シーズン~:ULTRA TOUR 95JP CV v3
Embed from Getty Imagesウイルソン契約になって使用し始めたのがウルトラツアー95JP CV v3。
モデル名 | Wilson ULTRA TOUR95JP CV v3.0 |
フェイス サイズ | 95inch2 |
重量 | 289g |
バランス | 340mm |
スイング ウェイト | – |
フレーム厚 | 22mm 均一 |
フレーム長 | 27.25inch |
フレックス | – |
ストリング パターン | 16×20 |
発売年 | 2020年 |
それまで使用してたラケットが100平方インチ・300gの黄金スペックだったので、95平方インチ・約290gにスイッチしたのはかなりの驚きがありました。
Embed from Getty Imagesしかしこの2021年にキャリアハイライトのひとつとなるマイアミオープンでの女子ダブルス優勝を達成。
ダブルスのボレーが得意な選手は面が100平方インチなど大きめのほうが良いとばかり思っていましたが、世界レベルで勝つためにはかならずしもそうとは限らないとも気づかされた一件でした。
2023シーズン~:ULTRA TOUR95J v4
Embed from Getty Imagesモデル名 | Wilson ULTRA TOUR95J v4.0 |
フェイス サイズ | 95inch2 |
重量 | 290g |
バランス | 340mm |
スイング ウェイト | – |
フレーム厚 | 22mm 均一 |
フレーム長 | 27.25inch |
フレックス | – |
ストリング パターン | 16×20 |
発売予定 | 2023年 3月末 |
価格 | 税込 38,500円 |
2023年には後継機種であるウルトラツアー95J v4にスイッチ。
カタログ上では若干数値が変化していますが基本的な設計はほぼそのまま、正常進化版と言えるモデルなので乗り換えは妥当。
2023年全豪オープンではこのULTRA TOUR95J v3を使用して決勝進出。
個人的にはこのカラーが青山選手に凄くマッチしていたと思いますね。
2025BJK杯:CLASH 100 PRO v3
モデル名 | Wilson CLASH 100 PRO v3.0 |
フェイス サイズ | 100inch2 |
重量 | 305g |
バランス | 310mm |
スイング ウェイト | – |
フレーム厚 | 24mm 均一 |
フレーム長 | 27 inch |
フレックス | – |
ストリング パターン | 16×20 |
発売予定 | 2023年 3月末 |
価格 | 税込 37,400円 |
2025年のBJK杯、青山選手の手に握られていたのはクラッシュ100プロv3.0でした。
このラケット変更については僕以外にも驚いた人が凄く多かったのではないでしょうか。
これまで使用していたウルトラツアー95Jが面が小さい・軽い・トップヘビー、一方のクラッシュ100プロは面が100とやや大きめ・やや重め・トップライトなので対照的なラケットなんですよね。
BJK杯ではチームの勝敗が掛かったダブルスに出場、特にネットでの厳しいボールに対するキャッチの良さ、フラット系のストロークが良いように見えました。
2025シーズン後半~:ULTRA TOUR98J v5と推測
Embed from Getty Imagesモデル名 | Wilson ULTRA TOUR98J v5 |
フェイス サイズ | 98 inch2 |
重量 | 290 g |
バランス | 330mm |
スイング ウェイト | – |
フレーム厚 | 22mm 均一 |
フレーム長 | 27.25 inch |
フレックス | – |
ストリング パターン | 18×19 |
発売予定 | 2025年 7月 |
価格 | 税込 41,800円 |
そして先日行われた大会ではクラッシュ100プロから新型のウルトラツアー98J v5と思われるラケットにスイッチ。
重量やバランスは以前使用していたウルトラツアー95J/95JPに近いのですが、98平方インチに18×19のストリングパターンというのが大きな違いとなっています。
錦織選手が使用する98(308g/325mm)と外観上の違いが無く、写真だけで見分けるのは困難。
とは言え過去のラケットチョイスから98Jと見るのが妥当だと推測しています。
スイッチしたばかりですので良し悪しを判断出来る段階ではないと思いますが、ボレーにしろストロークにしろこれまで以上のパンチ力を発揮することが出来ればビッグタイトル獲得につながる可能性は十分にあるはず。
【過去編】
ブリヂストンのラケットを使用
Embed from Getty Images
青山修子選手と言えばブリヂストンのラケット、そんなイメージを持っている人も少なくないはず。
プロのキャリアの大半をブリヂストンのラケットでプレーされており、日本人プレイヤーx日本ブランドのラケットが世界で活躍するのを見てワクワクさせてもらったものです。
ブリヂストンが2020年いっぱいでテニス事業から撤退することが決定した時、青山選手が次にどのブランドと契約するのか?というのは勝手に色々想像してましたね。
黄金スペックに強みのあったバボラ、BSと同じく国内主導・日本企画のラケットで復活し始めていたプリンス、このどちらかなんじゃないかと思ってましたが・・・。
そういった予想をしていたのでウイルソンになった時は驚きでしたね。
しかもウルトラ100じゃなくて、ウルトラツアー100でもなくて、ウルトラツアー95JPだったんですからさらに驚きでしたね。
長所を研ぎ澄ます道具選びがトッププロなのかも
ラケット選びを大別するなら①自分の弱点を補う(平均点型)、②自分の長所をより伸ばす(一点突破型)の2パターンがある考えています。
Embed from Getty Images今回青山選手のラケット選びを振り返ってみると②自分の長所をより伸ばす(一点突破型)のラケット選びのように見えます。
ネットプレーで読みが当たった時に一撃で仕留められるパンチ力、体格の良い外国人選手たちに主導権を握らせないライジングのストローク、こういった武器を尖らせていくことで世界の大きな大会を勝ち抜いているのでしょう。
プロともなると生半可なショットや戦術では通用しない世界でしょうし、加えて青山選手は女子プロの中でも最も小柄なほうであり①弱点を補う(平均点型)を目指してもどれも中途半端になってしまうというのもあるのかもしれませんね。
実際、ランキングのキャリアハイを記録したのはBSが撤退してウルトラツアー95JPを使い始めた2021年。
高いピークのために何かを切り捨てる
もちろん、長所を尖らすことで当然ながら犠牲になった部分も少なからずあるはず。
ウルトラツアー95Jを使っていたことから柔らかい打球感や快適性、スイートエリアの広さやスピンの掛けやすさ、こういった部分につていはおそらくある程度仕方ないと割り切っているんじゃないかなと予想します。
(一時期CLASHになったのは柔らかいフィーリングと広いスイートエリアが欲しくなったから?)
そういった犠牲を払うことで得意技のピークを高くしているということだと思うんです。
とは言えその高いピークを引き出せるのは青山選手自身の俊敏なフットワーク、優れた読みと重追切の良い判断力があったればこそ。
一般人がマネするのは少々危険ではあるけれど・・・
じゃあこの青山選手のようなラケット選びを一般プレイヤーがそのまま参考に出来るかっていうとやっぱり難しいところは多いと思うんです。
特に週1,2回くらいのプレー頻度で単複両方やります、っていうアドブロみたいな人間にとっては弱点を補ってくれる平均点の高いラケットの方が失敗とは感じにくいんだろうとは思います。
ただどうしても今まで超えられなかった壁を壊していきたい、そしてそのための練習時間やリソースを割くことは厭わない・・・っていう覚悟と準備ができている人は挑戦してみる価値はあるかもしれませんね。