・パンドラをインプレッション
・形/厚さ/重さが左右非対称
・高い技術力の変態ラケット
・自然なスピンをガイドする感覚
・逆向きは衝撃が強く感じる
・咄嗟のグリップチェンジが困難
・ワングリップなら輝くかもしれない
・プリンスXの方が使いやすい
トアルソン・パンドラを今更ながらインプレ
今回インプレしてみたのは約10年前に発売されたトアルソン・パンドラ(Toalson PANDORA)。
モデル名 | トアルソン パンドラ |
フェイス サイズ | 103 inch2 (46+57) |
重量 | 295 g |
バランス | 315 mm |
スイング ウェイト | – |
フレーム厚 | 18-23mm |
ストリング パターン | 16×19 |
グリップサイズ | 2 |
発売予定 | 2014年 12月 |
定価 | 税抜70,000 |
販売本数 | 200本 |
トアルソンの営業さんから『ぜひパンドラをインプレしてください』とライズテニスサービスの香田さんにお話があったそうで、一緒にテストさせて頂けることになりました。
文字通り”左右非対称”なラケット
このラケットの最大の特徴はフェイス形状が左右で異なるという点。
赤いほうが46平方インチとスリム、白いほうが57平方インチでワイドになっていて、合計で103平方インチのフェイスサイズとなっています。
さらにこのラケットの普通じゃない所は、形状だけだなく左右で厚み・重さも異なるという点。
赤が23㎜・白が18㎜、重量は赤いほうが+12gとなっているそうで、赤い方が重くて剛性もあるので打ち負けない構造・白い方がしなやかに乗る感じになるワケですね。
こいつは良くも悪くも変態ラケットだ
アスタリスタを張ったものを打たせてもらったのですが、本当に良くも悪くも変態ラケットだなと思いました。
実際に打ってみてラケットが持つコンセプトは十分、いや十二分に体感することが出来ました。
非対称が自然なスピンをガイドする感覚
トップスピンでは赤を上、スライスでは赤を下にして打つというのがスタンダードなスタイルになります。
(※赤いほうを先行させて振る、という表現でも良いかもしれません)
この打ち方をすると非対称な構造のおかげか、トップスピンの時には自然とフェイスを伏せていくようなラケットの動きがガイドされるように感じました。
その結果としてスムーズに振り抜けるような感覚があり、弾道が少し低めの自然なスピンボールが飛んで行ってくれました。
スライスも同様で、ラケットがボールの下に潜り込むような動きが自然と出て来るのでやはり振り抜きがスムーズ。
感触や性能に関しては21~22㎜くらいのボックス系が近いイメージで、自分のパワーでボールを飛ばすタイプだと思いますね。
逆向きも打てるが衝撃が強く腕が痛い
じゃあ逆にするとどうなのか?という点なのですが、白を先行させるようにすると全然異なる使用感に変化しますね。
ボールに対してガツンとぶつかるような感覚が強まり、打球としてはフラット気味になりますね。
ただインパクトで不自然な面の動き(※スピンで上向く、スライスで伏せるような動き)というのか、回転が掛からない方向に面が動こうとするのでインパクトでの腕への負担はかなり強く感じました。
ナイロンを張っていたのに翌日は手首から肘に掛けてハリ・軽い痛みを感じました。
ただパンドラからくるボールを受けた側の意見としては、同じようなフォームから(打球面の違いによって)異なる球質で飛んでくるので結構混乱させられる感じはありましたね。
咄嗟の持ち替えは非常に難しい
プレー中は常に面の向きを気にしている必要があるのですが、その影響でプレー中の脳への負荷はめちゃくちゃ大きくなりますね。
特にスピンとスライスを使い分けるバックサイドは慣れが必要で、咄嗟に持ち替える(=180°ラケットを回す)のが必要なのですが・・・全然間に合わなかったです。
相手のショット、自分が打ちたいショット、ラケットの向き、狙うコース・・・ただ打つだけでもいつもの倍疲れる気がしました。
スライスのワングリップなら輝くかも?
正直に言って面を使い分けるというのは非常に難しかったのですが、逆にスライスしか打たないワングリップのプレイヤーなら普通に使えて普通に恩恵を享受できるラケットだと思います。
フォアもバックもキレのあるスライスで組み立て、積極的にネットプレーに繋げて弾まないボレーで仕留める・・・そんなプレースタイルなら輝きそうです。
ワングリップで全てを捌くのであればグリップテープも大きな凹凸のあるスパイラルグリップを使うと、より一層旨味を強調出来るはずです。
プリンスの左右非対称:X(エックス)と比較
左右非対称と言えばプリンスのエックスシリーズが思い浮かぶ人がほとんどではないでしょうか。
ということでX105に同じストリングセッティングをして打ち比べをしてみました!
そりゃエックスの方が売れるよ・・・
打ち比べた結果なんですが「うん、これはXのほうが売れるな」と強く感じましたね。
Xも捻じれたシャフトが特徴的(※パンドラのあとだと霞む)なんですが、使い心地は普通でクセもなくまさに優等生。
Xを使うたびに思うのですが、使用感ではプリンスのラインナップの中でも実は一番オーソドックスなんですよね。
X105は掴む感覚と軽やかに弾くアシストのバランスが良く、当然ながら面の向きも気にせず使えるのでとにかく快適。
デビュー当初は奇抜・奇妙なフォルムと捉えられることも多かったXシリーズでしたが、特に2世代目になって以降は素直に扱いやすいラケットとしてシェアを拡大していますよね。
同じ左右対称でも普通に使いやすいX、個性が尖り過ぎてクセが強いパンドラ・・・そんなイメージでした。
まとめ:トアルソン・パンドラ
・パンドラをインプレッション
・形/厚さ/重さが左右非対称
・高い技術力の変態ラケット
・自然なスピンをガイドする感覚
・逆向きは衝撃が強く感じる
・咄嗟のグリップチェンジが困難
・ワングリップなら輝くかもしれない
・プリンスXの方が使いやすい