超人的なコートカバーリング&ストローク力でグランドスラム優勝を重ねているノバク・ジョコビッチ、戦術眼が優れていてウィンブルドン優勝やオリンピック連覇を達成したアンディ・マレー。
今回はそんな彼らが愛用しているHEAD(ヘッド)のテニスラケットを解説します!
・それぞれどんな特徴があるの?
・僕にはどのシリーズが合うのかな?
この記事を読めばあなたもHEADのラケット博士です!
HEAD(ヘッド)とは?
Embed from Getty Images・1950年にスキーブランドとして創立
・最先端素材を積極的に取り入れる先鋭性
・ジョコビッチやマレー、バーティなどが契約中
・これまでにもグランドスラム優勝者を多数輩出
・ラケットは主に5シリーズで展開中
スキーブランドしてハワード・ヘッド氏によって創立されたヘッドブランド。
1969年には世界初のアルミ製テニスラケットを開発。
現在も最先端素材や技術を積極的に取り入れて製品化させている先鋭性のあるテニスブランドです。
Embed from Getty Images良くも悪くも変化に対して積極的な部分が多く、ビッグヒットを叩き出したと思いきや、モデルチェンジの際に改悪といわれるような変化をさせてしまう事も。
使いなれたラケットが、モデルチェンジ時に消滅してしまう事もあるので油断出来ないブランドでもあります(笑)
主な6シリーズをそれぞれ紹介!
今回は現在販売されている主なラケット:6シリーズを順番に紹介します。
①SPEED(スピード)シリーズ
→高速ストローカーに愛される切れ味
②RADICAL(ラジカル)シリーズ
→スピンも使えるオールラウンドラケット
③PRESTIGE(プレステージ)シリーズ
→伝統と刷新を繰り返すハードヒッター用ラケット
④EXTREME(エクストリーム)シリーズ
→スピン性能を高めた黄金スペック
⑤INSTINCT(インスティンクト)シリーズ
→真っ直ぐに打ち込む黄金スペック
⑥GRAVITY(グラビティ)シリーズ
→しなやかでクセのない丸型フェイスラケット
HEADラケット:動画でも解説しています!
SPEED(スピード)シリーズの特徴
Embed from Getty Images・ブラック&ホワイトがイメージカラー
・スピード&コントロール性の高バランス
・レスポンスが良く速いテンポで攻めるプレイヤーに
<代表的な選手>
ジョコビッチ / バシラシビリ / ベルダスコ / シーネル / バーティ / アンドレースク / ガウフなど
ジョコビッチ契約時に誕生したSPEED
ジョコビッチがHEADと契約をする際に誕生したのがSPEEDシリーズ。
ジョコビッチはまさにこのシリーズの特徴を最大限に体現した選手。
SPEEDシリーズを一言で表現するなら、”速い展開で戦う為に設計されたラケット“。
ベースライン上での速い打ち合いはもちろん、どんなボールにも素早く追いつき鋭いカウンターを放っていきます。
高速ストローカーに愛されるラケット
Embed from Getty Imagesジョコビッチ以外にもバシラシビリやシーネルが使用。
高い機動力と高速ストロークを打ち込み続けられる選手が多いですね。
A・ズベレフもJr時代からSPEEDを愛用していた事からも、切れ味の良いストローカーにフィットするラケットと言えます。
女子ではバーティやアンドレースクがSPEEDを使用して、次々にビッグタイトルを獲得していきました。
今後活躍が期待されるC・ガウフもこのスピードシリーズを愛用しています。
テンポよく打ち込んで行きたい人向けのラケット
癖の少ない使用感、ボールの弾きの良さなど、気持ちよく振り抜いてテンポよく攻めたい人にぴったりなラケット。
ジョコビッチ用のブラックコスメ版も販売されています。
RADICAL(ラジカル)シリーズの特徴
Embed from Getty Images・イメージカラーはオレンジ系
・操作性の高さ、適度なパワーアシストが特徴
・スピンを掛けつつオールラウンドに攻める人向け
<代表的な選手>
アガシ / マレー / シュワルツマン / ガリン / フリッツ / クエバス / スティーブンスなど
A・アガシの為に作られたのがラジカルシリーズ
Embed from Getty ImagesアガシとHEADが契約した際に誕生したのがこのラジカルシリーズ。
球威と安定性が両立したストローク、ライジングでリターンエースを量産するアガシのプレーを支えたラケットでした。
初期はOS(オーバーサイズ:面が大きい)、MIDPLUS(ミッドプラス:面が小さめ)の2種類を主に展開し、アガシが使用するOSが良く売れていました。
パワーアシスト+スピン性能の高いバランス
Embed from Getty Imagesその後はスペックの変更やモデル拡充が繰り返し行われ、現在ではマレーをはじめ、シュワルツマンやガリン、女子ではスティーブンスが使用中。
SPEEDがハイテンポで攻める選手が多いのに対し、ラジカルはもっと懐が深い・粘り強いプレーの選手が多いですね!
スピン量も調整しつつ相手との駆け引きから得点を奪っていく、そんな懐の深いプレーにフィットするようです。
新型(2021年モデル)が登場してます!
これまでのスペックから大きく刷新が施された新型ラジカルMP/PRO。
これまで以上にしっかり打ち込んでいけるフレームへと進化しています!
旧型(G360)もお安くなって狙い目!
現在のラジカルシリーズの特徴は適度なパワーアシスト感+オールラウンドな使いやすさ。
スピンを掛けてストロークを打ちつつ、ボレーにも積極的に出ていく、そんなオールラウンドプレーを目指す方におすすめ。
マレーのキャリア前半を支えたi.Radical MPのインプレも有ります!
PRESTIGE(プレステージ)シリーズの特徴
Embed from Getty Images・赤(朱色)がイメージカラー
・多くの男子トッププロに愛されたシリーズ
・HEADの中では一番ハードスペック
・コントロール性の高さが特徴
・ビッグサーバー、片手打ちBHの選手の支持
<代表的な選手>
イバニセビッチ / クエルテン / サフィン / グロージャン / チリッチ / シモン / クエバス など
多くの男子トッププロに愛されたプレステージ
Embed from Getty ImagesプレステージはHEADのラインナップの中でも最もハードな仕様となっています。
これまでに多くの男子トッププロに愛されたシリーズでも有り、2001年ウィンブルドンのイバニセビッチ、2005年全豪のサフィンなど、記憶に残るドラマを多く彩ってきたラケットでもあります。
片手打ちバックハンド選手にも愛されたシリーズ
Embed from Getty Imagesプレステージの特徴としてもう一つ言及しておきたいのが、多くの片手バックハンドの選手に愛用されていたという点。
現在使用しているのはガルシアロペスくらいですが、過去に遡ってみるとティエム/ワウリンカ/ディミトロフ/ガスケ/ムゼッティ/クエルテン/ハースなど、トップクラスの選手たちが愛用していました。
ハードヒッター / タッチを重視する人にオススメ
プレステージはハードヒッター、タッチの良さを求めるテクニシャン、そして片手打ちバックハンドのプレイヤーにオススメしたいラケット。
初期はMIDの1機種しかなかったプレステージも、変化を繰り返しライナップも拡充。ハード寄りな機種は多いものの、体力に合わせたラケット選びがしやすくなりました。
プレステージらしさを残しつつ、ボールの弾き感がプラスされてより攻撃的になったのプレステージプロは注目の1本です。
EXTREME(エクストリーム)シリーズの特徴
Embed from Getty Images・黄色がイメージカラー
・高いスピン性能
・パワフルなスピンボールを打つための設計
<代表的な選手>
ベレッティーニ / ストルフ / ガスケ / クズネツォワ / ムゼッティなど
パワフルなスピンボールを打ち込むラケット
Embed from Getty Imagesベレッティーニやストルフに代表されるエクストリームシリーズ。
フレームのパワーを活かしつつ、強烈なスピンボールで展開していく選手が使用しています。
INSTINCT / EXTREMEの関係性が変わる
エクストリームはインスティンクトの派生に近い形で誕生したラケットでした。
縦長フェイスでフラットドライブが打ちやすかったインスティンクトに対し、丸いフェイスでスピン性能を高めたのがエクストリームでした(初代はマイクロジェルシリーズ)。
ただ最近のエクストリームは縦長フェイスを採用したりしていて、インスティンクトシリーズと差別化が曖昧になってきてしまっています。
今年もモデルリニューアルが続いているので、スペック変更やモデル統廃合も含めて見逃せないですね!
新しいスペックを追加したエクストリーム
Embed from Getty Imagesエクストリームに新たに追加された98平方インチモデルのEXTREME TOUR。
これまでプレステージプロを使っていた期待の若手:ムゼッティがこのラケットにスイッチ以降、非常に優れた戦績を残しています。
98平方インチ+最大23mm厚のフレームは、予想以上にトータルバランスに優れた性能を持っています。
『薄ラケよりパワーは欲しいけど、フィーリングも大切にしたい』という人には刺さる1本!
パワフルなスピンボールを打ち込みたい人にオススメ
黄色いライトセーバーとも呼ばれているのが2018年モデルのエクストリーム。
フレームのパワーを活かしつつ、強烈なスピンボールを打ち込んで行きたいプレイヤーにオススメの仕様になっています。
INSTINCT(インスティンクト)シリーズ特徴
Embed from Getty Images・現在のイメージカラーは水色
(初期イメージカラーはゴールド)
・パワフルな厚みのあるフレーム
・フラットドライブのボールが打ちやすいラケット
<代表的な選手>
シャラポワ / ベルディヒ / (ガスケ) / (クズネツォワ) / (ミスキナ)など
パワフルフレーム+縦長フェイス=フラット速球
Embed from Getty Images現在のインスティンクトシリーズの特徴はパワフルなフレーム+縦長フェイスを採用している事で、フラット系の速いボールを打ち込みやすい仕様になっています。
シャラポワやベルディヒがこのラケットの特性を活かした選手でした。
初期型は全然別物だったインスティンクト
インスティンクトが誕生したのは”リキッドメタル”シリーズが発表された2000年代中盤。当時猛烈に売れていたバボラ・ピュアドライブに対抗するラケットとして登場、ミスキナやクズネツォワがこのラケットでグランドスラム優勝を果たしています。
Embed from Getty Images初期モデルは金色(黄色)がイメージカラー。
ストリングパターンなどのスペックなども含め、現行と初期型とでは全然別物と言っていいほどの違いがありました。
ガスケもこのラケットの初期型愛用していました。
新型インスティンクトも登場!!
G360+を採用したパワフルなフレーム、縦長のフェイスは、速球が打ちやすい設計になっています。
トッププロの使用は減ってしまいましたが、特にボールを真っ直ぐに打ち込んでいきたい一般プレイヤーには良い武器になるはずです!
GRAVITY(グラビティ)シリーズの特徴
Embed from Getty Images・イメージカラー?は青(黄緑)&赤
・しなやかな薄めのフレーム
・丸いフェイス形状
・プレイヤーの邪魔をしないシンプルな性能
<代表的な選手>
A・ズベレフ / A・バーティ
アレクサンダー・ズベレフの為に作られたラケット
このラケットは2018年ATP FINALSを制したA・ズベレフの為に開発されたモデルです。
Embed from Getty Images2019年にグラビティは発売され、これまでにないシリーズの誕生という事で非常に大きな注目を集めました。
プレイヤーの邪魔をしないシンプルな性能
Embed from Getty Images薄めでしなやかなフレーム、丸みのあるフェイス形状が組み合わさった事により、全体のフィーリングと性能のバランスに優れているのがこのグラビティシリーズの特徴。
表と裏でカラーの違うトリッキーな外見からは想像つかない、シンプルで素直な使い心地が魅力のラケットに仕上がっています。