00-解説

なぜプロテニス選手の多くがナイロンストリングを使わないのか?

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ナイロンを使うプロはごく少数

世界で活躍するプロ選手が使用するストリングを調べてみると、ほとんどがポリエステルかナチュラルxポリのハイブリッドなんですよね。

ナイロン素材のストリングを使う選手は極々少数で、特に男子プロでは今のTOP100に使用者はおそらくいないのではないかと思われます。

ポリはともかく、ナチュラルを使うプロはたくさんいるのになぜナイロンはこんなにも使用率が低いのか?という疑問を深堀してみたいと思います。

プロ選手がナイロンを使わない理由

トアルソン・フォーティーラブ・ダブルエックスブイ (Toalson FORTY-LOVE XXV)

プロ選手がナイロンを使わない主な理由として推測されるものを挙げてみました。

ハードヒットの制御しやすさ

今現在男子テニスの覇権を握っているシナーとアルカラス。

この2人はポリエステルストリングユーザーで、シナーはホークタッチ、アルカラスはRPMチームを使っていると言われています。(諸説あり)

この2人の打ち合いは天元突破しており、他の選手たちとは別次元。

ラリースピードや精度、安定性が非常にハイレベルで、ほんの僅かなズレや誤差が勝敗を分けるような戦いになるのが常。

そういった状況の中で出来るだけ高い球威と精度を両立させるという意味では、ポリエステルが最適解だったということなのではないかと想像出来ます。

ナイロンだとすぐ切れてしまう

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これはそもそも論になりますが、ナイロンだと強度不足・耐久性不足という点も理由のひとつだと思われます。

ラケットの進化、選手たちのフィジカルの進化、戦術が変わったことによるラリー本数の増加など、現代テニスにおけるストリングへの負荷がとてつもなく大きいというのは想像に難くありません。

そもそもプロは太いゲージのポリエステルでも当たり所が悪ければ1発で切れてしまうこともありますし、ポリほど剛性・強度の高くないナイロンともなれば強烈なインパクトに耐えられずノッチが出来るまでもなく破断してしまうことでしょう。

(その昔、フェレーロがグラファイトLB+BBオリジナルなのに数球で切れてしまい別のラケットに交換しに行ってたのを見てめっちゃ驚いた記憶があります。)

そもそも選択肢になったことがないのでは

そして単純な性能や耐久性という面だけでなく、今活躍するトップ選手は”ポリエステルネイティブ“な世代だからなんじゃないかなと思うんです。

小さい頃からポリエステルストリングを使ってきておりポリを使うのは当たり前、ナイロンはそもそも使ったことが無いし選択肢にも入らないっていう感じの人もいることでしょう。

アルカラスが2003年生まれ、シナーが2001年生まれで、その頃にはもうすでにアルパワーやビッグバンガーオリジナルなどのポリエステルを使ってGS制覇する選手も登場してましたよね。

そして彼らが本格的にテニスに取り組み始めたであろう2010年代は完全にポリエステルが主流になっており、ストリングを選ぶにしてもポリエステルの中からという感じが当たり前になっていたんじゃないかなと想像します。

でも新しい切り口のナイロンも増えてきた!

前述の通り色々な要因からプロがナイロンを使うというのはなかなか難しいのですが、一方で一般プレイヤーならまだまだナイロンには大きな可能性や伸びしろがあるのではないかと思うんです。

というのもここ数年で新しいコンセプトや切り口のナイロンストリングも増えてきているからなんですね。

ポリライクを謳うアスタリスタ・アーマード

アスタリスタ・アーマードは”ポリライク”を謳うナイロンとして登場し、これまでのナイロンストリングとは一味違ったしっかり感をプラスしてくれます。

「ポリと同じ」とまでは言いませんが、確かにポリっぽい使い方が出来る、良い意味での雑さを許容してくれるナイロンに仕上がっていると思います。

滑りやすいナイロンも増えた

ここ数年でベロシティマルチやバイオロジックXX、アイコニック・スピードなどナイロンでありながらコーティングにより表面の滑りが良くなったモデルも増えてきました。

これまでのナイロンの多くが滑らない・ズレたら戻らないっていう”ヨレ”を気にする人が多かったと思いますが、前述のナイロンであればヨレにくくストレスを減らしてくれます。

伊藤あおい選手がハイブリッドで使用

ここ数年で一気にランキングを上げている伊藤あおい選手は、数少ないナイロンユーザーのプロ選手

プレースタイルや戦術が特殊なのでアマチュアはマネできないししない方が良いと思うのですが、プロでもナイロン使っている人はいるんだよという一例として紹介は出来るのかなと。

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ちなみに大坂なおみ選手が初めてグランドスラムを制覇した時は、クロスにナイロンマルチであるレクシスを使っていたそうです。
(現在はおそらくナチュラルのハイブリッドを使用)

おそらく男女ともにナイロンを使ってグランドスラムを制覇したのは大坂選手が最後なんじゃないかなと思います・・・

とは言え、女子プロがハイブリッドで使うならありなのではという気も・・・
(いやサバ、イガ、ココと打ち合うのはきついか笑)

G-TOUR3など気になるストリングを今後もどんどん試していく予定です。


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テニス系ブロガー
コトウダマサト (TRUEMAN)
・30代後半男性
・テニス歴23年

・オールラウンド(器用貧乏)
・SX300(2025)を愛用中
・セッティング模索中
詳しいプロフィール

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