
HYPER-Gなどポリストリングで高い人気を誇っているSOLINCO(ソリンコ)のテニスラケット:BLACK OUT(ブラックアウト)285gをインプレッション。

『ソリンコのテニスラケット』というとキワモノ感があるかもしれませんが、非常にしっかりと作られた完成度の高いラケットになっています!
メリット | デメリット |
・クリアな打球感 ・しっかりした反発力 ・癖のない性能バランス ・格好良い黒いデザイン ・軽量でも打ち負けない |
・扁平気味のグリップ ・マット塗装の質感 ・取り扱い店舗が少ない |
SOLINCO BLACKOUT 285g
(ソリンコ・ブラックアウト285)

ソリンコが2022年に新たに打ち出した新ラケットシリーズのうちのひとつ、軽量黄金スペックの『ブラックアウト285』を購入しました!

ハイパーGやツアーバイトなどポリエステルストリングで有名なソリンコですが、テニスラケットもブラックアウト/ホワイトアウトの2本柱を展開しています。

グリップ上部からシャフトにかけて直線的な形状を採用。

ヨークは6穴、結構ボリュームある断面形状をしているので剛性は高そうに見えます。
黒く精悍なデザインが魅力的!

ブラックアウトの大きな特徴がこの真っ黒なデザインでしょう。

フレームの上半分はグロス仕上げ、下半分がマット仕上げになっています。


フレームサイドには「BLACK」「OUT」という文字がプリントされており、全体的にシンプルながらも特徴のあるデザイン。
「色」を入れた分かりやすいネーミング
「多くのプレイヤー、プロ選手ですら使ってるラケットの名前を知らずにブランド名と色で呼んでいる」と。
— コトウダマサト(TRUEMAN) / アドブロ (@ADVNTG_kotodama) March 16, 2023
その結果、100種類以上の候補の中から名前に色が入った『ブラック』アウトと『ホワイト』アウトになったそうな。
ソリンコのこういう現実主義っぽいとこ好きよ。笑https://t.co/ZG3OrQAliE
ソリンコがマーケティングをした結果、多くのプレイヤー、時にはプロ選手でさえ自分の使っているラケットの名前が分からないということが判明。
「〇〇社の▲▲色のラケット」という感じで、ブランド名とラケットの色で呼んでいる人が多かったとのこと。
そういった市場を踏まえてブラックアウト・ホワイトアウトというように、色を入れつつシンプルにして”覚えやすく忘れにくい名称“にしているのも考えられてますよね。
ブライアン兄弟も開発に携わっていたラケット
元世界No.1ダブルスのブライアン兄弟もこのブラックアウトの開発に携わり、現在は300g/27.5inchのBLACKOUT 300XTDを使用中。
過去にはプリンス、キャリア終盤にはピュアドライブなどのラケットを使ってきた2人。
複数のプロトタイプを試し、時間をかけてようやく完成したのがこのブラックアウト・・・という背景を知ると凄く欲しくなりますよね(笑)
スペック:285gの軽量バージョン

モデル名 | BLACKOUT 285 |
ヘッド サイズ | 100 |
重さ | 285g |
バランス | 330 |
厚さ | 23.5 26 23 |
ストリング パターン | 16×19 |
長さ | 27 |
Stiffness | RA70 (※TW参照) |
今回購入したのは285g/330mmの軽量バージョンで、ここからグリップのレザー化などカスタムを加えていく予定です。
<285g前後のライバル>
・ピュアドライブTEAM
・ピュアアエロTEAM
・FX500LS
・SX300LS
・ウルトラ100L v4(280g)
・BEAST100 (280g)
・X100 (290g) など
同じようなカテゴリーのラケットしてはピュアドラTEAMやFX500LS、X100やビースト100など290〜280gの軽量中厚系になってくると思います。
今回も例によってライズテニスサービスさんで計測をしていただきました!
実測値 | |
重量 | 286g |
バランス | 330mm |
スイング ウェイト | SW284 |
フレックス (Stiffness) | RA71 |
今回のような数が流通していないレアなラケットの時に不安なのがスペックのバラツキ。
ただ今回のソリンコ・ブラックアウトはほぼカタログスペックになっており、計測前の不安を完全に払拭してくれました。
また285gながらSW284/RA71なので、ノーマルの状態でも簡単には打ち負けないであろう数値になっています。
搭載されているテクノロジー
パワーフレックスゾーン

黄金スペックなどデュアルテーパーのラケットの多くがフェイスの3・9時部分で最もフレームが厚くなるように設計されているのに対し、このブラックアウトは5・7時部分が最も厚くなっています。
これによってパワフルさとしなやかさを上手くミックスさせています。
リキッドクリスタルテクノロジー

グリップ部分には減衰性に優れた液晶繊維を搭載、心地よく快適な打球感を実現。
コンセプトとしてはYONEXのVDM、プリンスのP.V.Sとほぼ同じと考えて良いと思います。
40T カーボンファイバー

フレーム最大厚が5/7時部分にある一方、若干薄くなっている3/9時のところには高弾性が特徴の40T Carbon Fiberを採用。
これによってスイートエリアの拡大、安定性やパワーの向上に貢献。
ウェイトコントロールモジュール

別売にはなりますがエンドキャップを付け替えることで、重量・バランスを手軽に調整できるウェイトコントロールモジュールという機能も搭載。
本体とは別売ということと、自分で鉛を貼れば良いと考えて今回購入は見送りました。
シリーズの詳細についてはこちらの記事で!
グリップはわずかに扁平気味の形状なのは要注意

テクニファイバーほと極端ではないのですが、グリップはほんのりと扁平気味の形状になっています。
ウイルソンやDUNLOPなどから乗り換える場合には若干気になる可能性はありますね。
打球感:カチッとしたクリアな打球感

ホールド感の出やすいハイパーG 1.25mmを45ポンドで張り上げて使用しましたが、打球感自体は割とカチッとしていてインパクトが感じ取りやすかったです!
構造的に特殊なものが入っているワケではないこともあってか、シンプルでクリアな打球感という表現がピッタリ。
ストリングのたわみが出しやすく制御しやすい

フレーム自体はカチッとしている印象でしたが、グロメット径は大きくストリングは比較的たわみやすいんだろうなと感じました。
そのおかげでレスポンス過剰になることもなく、感覚的にも制御しやすいラケットだと感じることが出来ました。
性能:ストロークからボレーまで快適
サーブ | -1 | 回転系は悪くない |
ストローク | 1 | 回転は掛けやすい |
ボレー | 1 | 反発力で返球しやすい |
ドライブ | -1 | 回転に力が食われる感覚 |
トップスピン | 0 | 回転量は十分に出る |
弾道の高さ | 1 | 少し高めの弾道も○ |
スライス | 1 | 載り過ぎず弾き過ぎず |
反発力 | 1 | 弾く力は強い |
パワー | 1 | SWもし必要十分 |
ホールド感 | -1 | 食いつき感は少ない |
安定性 | 0 | 重さを少し足すと尚良し |
操作性 | 1 | 取り回しは平均以上 |
振り抜き | 0 | 中厚系の平均 |
減衰性 | 0 | 良くも悪くもない |
快適性 | 1 | アシスト感はある |
※-2から+2までの5段階で評価
[BLACKOUT285 初打ち]
— コトウダマサト(TRUEMAN) / アドブロ (@ADVNTG_kotodama) March 18, 2023
ハイパーGなので若干弾道が上がりやすい傾向はあるものの、ラケット自体が球を飛ばしてくれる感覚はEZ98L以上。落差も出しやすいので振った方がお得な感じ。
ボレーは明らかに楽できるようになりました(笑)
セット→インパクトさえ集中していれば良いのでミスが減らせそう。 pic.twitter.com/Pj28WcQGIZ
サービス:万能タイプだけどスイング速度は必要

サーブでもボールの引っかかりの良さが感じられ、スピンをかけるのは簡単に感じました。
ただ普段使っているEZONE98L+丸ポリのセッティングと比べると、スイングのエネルギーが回転に多く変換されてしまって浅いところに落ちてしまう場面も見られました。
扁平気味のグリップなのでインパクトでの面の角度が微妙にズレてるということもあったと思いますが、自分でしっかりと推進力を加えていくようにすると良いサーブを打ち込むことが出来ました。
ストローク:中弾道で調整はしやすい印象

ループ系のスピンボールから直線的なドライブまで、ショットの弾道を調整しやすかったのは好印象。
ピュアドライブだともう少し自動で直線的なボールになってしまう感覚が強かったので、色んなショットを使い分けたい自分としてはブラックアウトの方が好みでした。

片手バックハンドも違和感はなく、しっかり振り抜くとパワフルなスピンボールを打ち込むことが出来ました。
285g/330mmというスペックですが意外とヘッド側に重みを感じるので、振り抜きさえすれば300g/320mmの黄金スペックラケットにも負けないパワーを引き出せると思います。
フレームの剛性がしっかりしているので、スライスもブレずに返球することが出来ました。
ボレー:285gでも合わせればしっかり返せる

高い剛性感に加えて285gでも相手のショットに負けにくいので、ネットプレーにおける安心感は◎。
特にミドル〜ローボレーで、イメージ以上に滑るような低いボレーが打てたのには自分でもびっくりしました。
思わずニッコリ。
動画インプレはこちらから
ここが好き:クセの無いパワー+黒デザイン
・精悍な黒のデザイン
・クリアな打球感
・クセのない性能/バランス
・285gでも打ち負けにくい
最大の魅力はデザインと言っても過言ではありません。
シンプルな黒、左右対称なデザイン、非常に良いです。
さらに黄金スペックらしい性能のバランスの良さを実現しており、しっかり使い込んでいけるラケットとしての安心感も◎。
ここがイマイチ:扁平なグリップ+取り扱いが少ない
・若干扁平なグリップ
・取り扱い店舗が少ない
・マット塗装部分の質感
使用する上で最も気になったのは若干扁平なグリップ形状。
テクニほど極端な扁平ではないものの、多少の違和感を覚える人も出てくるかと思います。
また日本ではほぼ展開されていないラケットなので、現物を見たり試打したりするのは相当難しいモデルとなっているのもイマイチなところかもしれません。
おすすめセッティング:ハイパーGが無難
・ハイパーG 1.25mm
・G-TOUR3 1.23mm
・エコパワー 1.25mm
・ポリツアーストライク 1.25mm
これまでに3つのポリエステルを張ってみましたが、バランス良くまとまる感じが良かったのはハイパーGかなと思います!
フレーム自体はカチッとしている分、ストリング側でホールド感をプラスしてあげると扱いやすさがアップしますね。
僕自身もBLACKOUTにポリツアーストライク125に装着してみました。不快な振動は取れたし、もともとのシャープなレスポンスゆえに制御しにくかった感覚もマイルドに改善😄
— コトウダマサト(TRUEMAN) / アドブロ (@ADVNTG_kotodama) May 25, 2023
このセッティングなら確実につけた方が良いなって感じ。
シリコンの質の違いなのか分からないけど、クエークバスターより好き。 pic.twitter.com/kixifLMHb1
ポリツアーストライクを組み合わせるとかなりレスポンスが鋭くなり、スピードは出しやすくなります。
しかしながら制御のしやすさ、減衰性などは厳しくなるので、イオミック・ショックレスなど振動止めをつかて上げると良い感じになりました。
BLACK OUT285の購入はこちらから
ブラックアウトは国内ではほとんど取り扱いがないモデルですが、アミュゼスポーツ楽天店などで購入が可能。
実勢価格は2.98万円ですが、タイミング次第では10%以上割引になるクーポンが出てたりするので要チェックです!
実は結構ソリンコのラケットバッグって人気なのでは?って感じることが多いんですよね。
ブラックアウトよろしく、ラケットバックもシンプルでかっこいいデザインなのがその理由なのかもしれませんね。
まとめ:SOLINCO BLACKOUT 285

・ソリンコ発の本気の黄金スペック
・ブライアン兄弟が開発に携わった1本
・シャープでクリアな打感
・黒い精悍なデザインは好印象
・285gでも安定感は十分