現在のポリエステルストリング市場の中でも、非常に幅広い選択肢から選ぶ事が可能になったのが多角形断面のストリング。
『多角形ポリ=スピンがかかる』というイメージから、多角形ポリを選んでいる人も多いのではないでしょうか。
今回は以下の3つの切り口から多角形ポリストリングを解説しています!
- 多角形ポリのメリット/デメリット
- 多角形ポリは意外とスピン掛からない?
- 多角形ポリを選ぶ時のポイント
ストリングを上手に選んで、プレーのクオリティやパフォーマンスをアップさせましょう!
①多角形ポリのメリット/デメリットとは?
ここ数年で商品数が増え、選択肢が広がった多角形ポリエステル・ストリング。
まずはこの多角形ポリの一般的なメリットやデメリットについておさらいしましょう!
多角形ポリのメリット:角による引っ掛かりの強さ!
・ボールの引っ掛かりの強さ
(=弾道の上げやすさ)
・しっかりとした打球感
・インパクト時の手応え
多角形の大きなメリットとしてはボールの引っ掛かりの強さ!
これにより高い弾道のボールが打ちやすい、低いボールを持ち上げやすいなどの特徴があります。
それ以外にもカチッとした硬めの打球感のものが多いため、スイングのパワーを逃す事なくボールに伝えやすいという側面もあります。
多角形ポリのデメリット:スナップバックしない+打感は硬めが多い
・スナップバックしにくい
・打感が硬めのものが多い
・張り上げ後の重量増加大
デメリットになりうる点は、エッジが効いている事でスナップバックが起こりにくいという事。
特に3角形や4角形などの角が鋭いものは、ストリング同士が滑らないものが多いです。
また、多角形ストリングはエッジを効かせるために密度の高い硬い素材を使っているものが多いです。
そのため、打感が硬い(手応えが重い)ものが多い事、張り上げたあとの重量増加が大きくトップヘビー気味になってしまう事などが上げられます。
②多角形ポリって意外とスピン掛からないかも!
多角形ポリのメリット・デメリットが分かったところで、今回最もお伝えしたいテーマがこちら。
『多角形ポリでも意外とスピンは掛からないかも』という事!
まずはいくつか多角形(スピン系)ポリストリングについて言及している記事・動画をご紹介します!
Tennis-One:「スピン系ポリはオススメではない!?」
“ラケットドック”というフィッティング専門のイベントを主催し、各プレイヤーにあったセッティングを見つけ出すためのノウハウを公開しているTENNIS-ONEのブログ。
その中でも、スピン系ポリが一般プレイヤーには必ずしもオススメ出来る訳ではないないという興味深いお話が。
要点は以下の通り!
・ポリは飛びが少ない
・スナップバックもしづらい
・そもそもアウトしづらい
・棒球になりやすい
Prince x Windsor:ストリングを変えてトラックマン計測
BEAST100に6種類のストリング+トラックマン計測という、大掛かりな検証動画がこちら!
TOUR XX SPIN(※多角形ではないけどスピン系)や、ツルツル系のハリアーレスポンスなどを比較した結果、3人それぞれに違う結果が!
・パワフルな大友さんはTOUR XX SPINがダントツでスピン量が多くなった
・関口さんと宮田さんはハリアーレスポンスが最多スピン量となった
・ナイロン+ポリのハイブリッドは、横にポリを入れた場合の方が3人ともスピンが多かった
・体感のスピン量と、実際のスピン量は必ずしも一致はしない
・ストリングによるスピン量の違い
・スイングのパワーにより結果が変化
・パワーがあればスピン系がいい
・丸+ツルツルの糸もスピン量多い
・体感とスピン量は一致しない場合も
アドブロもストリングを比較させて頂きました!
実は先ほどのPrince x Windsorの検証に先立って、アドブロでもストリング4種類をテニスセンサーを使用してデータ比較・検証をさせてもらいました!
TOUR XX SPINが弾道が上げやすく好感触だったのですが、データで見てみるとハリアースピンが良い結果を残していました!
プリンスの関口さん・宮田さんと似た結果になっていると言えそうです!
・ストリング4種類をデータ比較
・感覚と数値には違いがあった
・スピン系は意外とスピン量少ない
・ツルツル丸型が最多スピンに!
多角形の良さが引き出せるのはスイングスピードが速い人限定?
これらの記事・動画の内容から考察出来るのは、『多角形ポリは一定以上のスイングスピード/パワーがないと回転量が増えにくいのではないか』という点ですね。
プリンスの大友さんレベルのスイングが出来ればスピン系のメリットは大きくなる
そこまで行かないスイングならツルツルしている丸型の方がスピン量は出しやすい
・・・そんな傾向があると推測されます。
ですのでストリングの製品コンセプトやインプレを読んで満足せずに、自分のスイングがどの人に近いのか?その人はどんな感想・データを残しているのか?っていうところまで踏み込んでチェックしてみるのが良さそう!
③多角形ポリを選ぶ時のポイント
では「多角形ポリを使います!」と決心した時、どんなふうにストリングを選べば良いのか?という点に踏み込んでいきたいと思います!
断面形状+打球感+打ち出し角度で選び分けすべし!
色々な多角形(≒スピン系)ポリをインプレしてきましたが、ストリング選びをする際に大切になってくるのは[断面形状]と[打球感の硬い/柔らかい]と[打ち出し角度]という3点のバランスですね!
これまでにテストしてきたストリングの断面形状と打球感を一覧にしてみました!
製品名 | 断面形状 | 打感 (手応え) | 打ち出し 角度 |
エクスプロッシブ バイト | 3角形 | 柔らかめ +粘り (重め) | 高い |
レンコン デビルスピン | 3角形 | 柔らかめ (重め) | 高い |
ウルトラ ケーブル | 4角形 | 硬い (重め) | 標準 〜高い |
ワサビ | 4角形 | 少し硬め (重め) | 標準 〜高い |
ブラック コード | 5角形 | 柔らかめ (標準) | 少し高い |
ポリツアー スピン | 5角形 | 硬い (重め) | 高い |
ハイパーG | 5角形 | 少し柔らかい (標準~重め) | 高い |
ハイパーG ソフト | 5角形 | 少し柔らかい (標準~重め) | 高い |
コンフィデンシャル | 5角形 | 少し柔らかい (重め) | 高い |
G-SPIN3 | 6角形 | 柔らかめ (標準) | 標準〜 少し高い |
エクスペリエンス | 6角形 | 少し硬め (少し軽い) | 少し高い |
LYNX TOUR | 6角形 | 少し硬め (重め) | 少し高い |
キャビア | 6角形 | 少し硬め (標準) | 標準 |
アブソルート | 6角形 | 少し柔らかめ (標準) | 標準 |
RPM ブラスト | 8角形 | 少し硬め (標準) | 標準 |
RPM ラフ | 8角形 +ラフ | 少し硬め (標準) | 少し高い |
ポリツアー レブ | 8角形 | 少し柔らかめ (標準~重め) | 少し高い |
ツアー XXスピン | (5本溝) | 少し柔らかめ (標準) | 高い |
もちろんラケットやスイングの違いによっても結果は違うとは思いますが・・・ひとつの参考にはしていただけるはず!
初めは弾道が標準〜少し高い多角形ポリを選ぶのがベター
例えば丸ポリから自然に多角形へスムーズに移行した人は、弾道が”標準”、”少し高い”となっているRPMブラストやポリツアーレブ、G-SPIN3などがオススメ。
スピン系らしい打ち出し角度を取り入れつつも、打球感が硬すぎないのを求めているのなら、ハイパーGやツアーXXスピンあたりがオススメになりそう!
3つのパラメータのバランスを注意しながら選んでみてくださいね!
おまけ:多角形を使いこなしたいなら筋肉だ!
Embed from Getty Images多角形ポリストリングを使って強烈なスピンボール+高弾道を実現するには、速くて力強いスイングが出来る事が求められます。
それを実現する為には
①運動効率の高いスイング(=運動連鎖)
②大きな筋力 (=大きなエンジン)
が求められます。
残念ながら①運動効率の高いスイングを週末プレイヤーが追い求めていくのは、かなりハードルが高いというのが現実。(動きの精度、再現性の向上などを突き詰めるのは、時間的にも難易度的にも長い道のりになるのは必須)
劇的には変わらないものの、着実に成長出来る②大きな筋力を目指す方が週末プレイヤーにはオススメ。
週に1回1時間でも良いので、筋力トレーニングを取り入れるだけでもパフォーマンスが変わってくるはず。
目的に合わせてトレーニングや食事のアドバイスをもらえるパーソナルトレーニングがオススメ!
今なら無料で体験レッスンを受ける事が出来ますので、”とりあえず試してみたい“というあなたにぴったり。
ヘビースピンを手に入れるために、みっちり鍛えてみませんか?
まとめ:多角形だからってスピンが掛かるワケじゃない
・多角形ポリのメリット/デメリット
・意外とスピンが掛からないかも!?
・データでスピン量を検証
・パワーがないとスピン増えない
・ストリング選びが超重要!